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狼が泣いた

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2016年06月21日 23:29 公開
1ページ(3119文字)
完結 | しおり数 0


おねこいる。

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 わぉ~ん
 オオカミが鳴いた。

 お腹が空いた。
 喉が渇いた。
 ひとりぼっち。

 わぉ~ん。

 オオカミが鳴いた。

 オオカミは食べ物を探しに町に下りました。

 町では、オオカミは嫌われモノ。

 オオカミは、まだ一度も町の人を見た事がありません。
 オオカミが溜め息を吐くと、ガタンと音が聞こえました。

 オオカミが、振り向くと綺麗な一匹の白いウサギがガタガタ震えていました。

「どうしたんだい?」

 とオオカミが尋ねると、ウサギは、もっと震えました。

「もしかして、僕の事怖い?」

 すると、ウサギは、コクリと頷きました。

 オオカミは出来る限りの笑顔を見せる。

「どうしてだい?」

「だって、耳が大きいもの……」

「君の耳の方が大きいよ……」

「あ……」

「でも、口が大きくて怖い……」

「口はね、口笛を吹きすぎたら、こうなっちゃったんだ……」

 オオカミがそう言うと、口笛を、ピュ~と吹きました。

「わぁー上手ですねぇ」

 と、手をパン、パンと叩いて喜びました。

 しかし、やはりオオカミが怖いのか、ぶるぶると震えました。

「でも、お肉がお好きなんでしょ……?」

 と、兎はオオカミに尋ねました。

「うんん。僕、実は肉アレルギーなんだ……
 だから、魚が大好物なんだ」

「へぇ~」

「まだ、僕の事怖い?」

「あのね……
 朝と夕方に、吠えるるでしょ?
 みんなそれを怖がっているよ……」

「そうなんだ……」

 オオカミは、朝と夕方に吠えるの事を止めました。
 しかし、次の日も、その次の日も、町の人達はオオカミを怖がりました。
 変わった事と言えば、ウサギだけが、自分が好きな食べ物を毎日、オオカミに別けてあげました。

 オオカミは、嬉しかったのですが……
 ある日、ウサギの顔の傷に、オオカミは気がつきました。

「顔の傷どうしたの?」

 オオカミが、どんなに尋ねてもウサギは、答えません。
 日を追うごとに、傷が増えて行くので、オオカミはもう一度、尋ねました。
 すると、ウサギは、泣きながら答えてくれました。

「オオカミさんと仲良くするなって、みんなが言うんです」

 オオカミは、迷いました。
 このまま自分と一緒に居ると、ウサギが苛められてしまう……
 でも、ウサギと離れてしまえば、自分はひとりぼっちに戻ってしまう……

 オオカミは、ニッコリ笑うと、ウサギにこう言いました。

「作戦通りだ。
 肉アレルギーなんて真っ赤な嘘さ!
 俺は、美味しそうな君の肉を食べる為に嘘をついたのさ!」

「ウソだよね?オオカミさん、ウソだよね?」

「ウソじゃないさ!
 君は、こうやって町の人に嫌われただろ?
 それが、何よりの証拠さ!」

「オオカミさんのバカ!」

 ウサギは、走ってオオカミから逃げて行きました。

 これで良いんだ……
 これで良いんだ……
 これで良いんだ……
 寂しいのは辛いけど……
 自分のせいで、ウサギさんが傷付くのは、もっと辛いから……

 オオカミは、何度も何度も自分に言い聞かせました。

 オオカミは、自分の家に帰ると寂しさの余り吠えたくなりました。
 でも、ウサギと約束をしたので吠えるのは我慢しました。

 1日、2日とオオカミは、ウサギに会うのを我慢しました。
 3日、4日、5日と我慢しましたが、とうとう我慢出来なくて、町の中にこっそり気配を消して町の中に入りました。

 こっそり、遠くで一目見たら帰るんだ……
 そう、思い、こっそり見て見ると。

 ウサギは、他の人たちに石をぶつけられていました。
 体中は、傷だらけで服は破られていました。

「お前のせいで、オオカミがやって来てるんだぞ?
 私は婚約者が、オオカミに食べられたんだぞ!」

「おじいさんも、食べられちゃった……」

 あるイヌは、怒って石をウサギにぶつけました。
 タヌキは、泣きながらウサギに石をぶつけた。

「みんなみんな、お前と仲良くなってからじゃないか!!
 お前が悪いんだ!
 お前が悪いんだ!」

 と、イヌは言いました。
 するとウサギは涙を流しながら、言いました。

「ちがうもん!
 オオカミさんは、魚と野菜しか食べ無いもん!」

 しかし、町のみんなは聞いてくれません。
 すると、村長のヤギさんが、こう言いました。

「このウサギをオオカミたちの餌にして、私らはその間に猟銃でオオカミたちを殺してしまおう」

 村の人達は、それに賛成しました。

「そんな事、させるかー!」

 と、オオカミは町の人々の前に飛び出しました。
 村の人々は、突然の事に驚きました。
 オオカミは、その隙に、ウサギを連れて自分の家に運びました。

「大丈夫かい……?」

 と、オオカミが尋ねるとウサギは、コクリと頷きました。

「あの……オオカミさん」

「なんだい?」

「町の人を食べてませんよね?」

 ウサギは、涙を流しながら言いました。
 オオカミは、頷きながらこう答えました。

「あれは、きっと他のオオカミたちだよ……
 ヤギさんがハッキリ『オオカミたち』って、言っているのを聞いたから……」

「オオカミさん、お友だちいないの?」

「うん。
 僕は、生まれも育ちも一匹オオカミさ。
 友達なんていない。
 ずっとひとりぼっちさ」

 と、オオカミは、切なそうに言った。
 オオカミは、外に出ると、吠えた。

「わおーん。ここは、俺の縄張りだ!
 勝手な真似は、許さんぞー!」

 いったん叫ぶと、オオカミは家の中に戻った。

「これで、大丈夫だよ。
 もう暫くは、オオカミたちは来ない」

「ありがとう」

 ウサギはニッコリと笑いお礼を言いました。

「今日は泊まっていきなよ……
 町に戻っても、きっと苛められる……」

「うん。
 オオカミさんさえよければ泊めて下さい。」

 オオカミは喜んだ。
 初めて自分の家に人が来た上に……
 泊まってくれるなんて……
 オオカミが、喜んでいるのも束の間……

 家に火が放たれました。
 外で、声が聞こえます。

「ここだ!
 ここにオオカミがいるぞ!」

 そして、次々に、火が飛んで来ました。

「だめだ……
 とても逃げれそうも無いや……」

 オオカミは、言葉を続けました。

「ごめんね、ウサギさん……
 ウサギさんまで、こんな事に巻き込んでしまって……」

 すると、ウサギは何を思ったのか、オオカミにこう言いました。

「オオカミさん、友達いないんだよね?」

「う、うん……」

「だったら、私が友達になってあげる!」

「え?いいの?」

「うん!」

「あはは……嬉しいな」

「私も……」

 オオカミはそう言うと、ウサギを抱き締めました。

「ねぇ?熱くない?」

 と、オオカミが尋ねるとウサギは目を閉じてこう言いました。

「うん、熱くないよ……
 暖かい……」

「僕も……」

 二人は、そのまま炎の中で燃え尽きてしまいました。
 もう、町にはオオカミもオオカミの仲間のウサギもいません。
 町が、安心しきっていると、オオカミの大群に襲われててしまいました。
 今まで、オオカミが他のオオカミたちのことを引き寄せないようにしていたのでした……


 そして、何も知らない村人はそのオオカミを焼き殺し……
 そして、全滅してしまったのです。

 今でも、この丘では時折、悲しそうなオオカミの遠吠えが聞こえるそうです。

 おわり

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