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万世橋で恋をして

短編小説
恋愛
BL オリジナル
2017年02月20日 19:02 公開
1ページ(932文字)
完結 | しおり数 0


ふしきの

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秋葉原で僕は私に変わる。
120分の料金を払い、三度目の街歩きをする。
この前は神田神社で精一杯だった。
神田明神社殿は広くて変な風体な私が観光客に紛れ、何とかだいこくさままで向かい、その足元まで来て走って帰った。
汗だくでお店に戻り、化粧が落ちた顔で思いっきり笑った。

「末日は吉原!」
等と意味深ぶった同僚を背に退社する。
「相変わらず陰気くせぇ」
「こいつお婆ちゃんの臭いがする」
追い討ちをかけるように言われる。
なれている。 

なれている。

万世橋の向こう側にリニューアルしたカフェが自然食材で人気らしいことは知っていた。
でも、早々に行ける機会はなかった。

あの短い橋が恐かった。


狐狸庵閑話を鞄から出す。
神保町で買った古い本は紙質の悪い時代でそれもまた時代のひとつで好きだった。
好きではないけれど、なぜか注文したマキアートが運ばれた。
コートを借りてもまだ春先の寒い時期だと言うことに気がついたのは、カフェスペースには友達連れが沢山いるのに、オープンテラスには誰もいないのに今更気がついた始末。

その人はサラダを食べていた。
真面目過ぎる顔で少し僕に気がついた顔をしたが目をそらした。


よく覚えていなんだ。
交わした言葉は覚えている。
「狐狸庵閑話初版本だね」
「ライターをしている、頼まれればなんでも書くなんでも屋さんだよ」
少し自虐的だが受けない。
「カツサンド好きなのだけれど、胸焼け起こしてね」
肉の万世のこととか。

そして、僕らは手を繋ぐ。

万世橋の石灯籠に明かりがつく。
差し出された右手に左手が繋がっているんだ。
ゆっくりと歩いてくれる。
ヒールで踵が擦れる。
汗っぽい手の温もりが嬉しかった。

「駅はこっち。僕は……私はこっち」
「ありがとう。またね」
外国人顔の丸縁眼鏡がとても似合っていた。
だらしない無精髭が笑えるほど似合うと思う。
ひょろひょろの僕を支えるように大きな体の君。
ドイツ系らしく大切に使い込まれた帆布鞄と黒いジャケット。
見つめると目をそらす。
それでも繋いだ手は離さなかった。

「またね」
「また」
そう言って僕らは別れた。


また会える。
その気持ちが出水のごとく溢れ出た。

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