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眼醒めし少年

その日は朝から、天気は微妙だった。

日野松寿(ひの しょうじゅ)は、12月という年末に、某県勿代町に修学旅行で来ていた。



松寿はそれなりに、『一人で』楽しんでいた。というのも、彼が編成された班は不良の枠組みの、あぶれたものが集まった班だった。松寿は、彼のクラスの6人編成4組5人編成2組という班の編成の都合上、4人で固まっていた不良の班に『数合わせ』で入っていたのだ。

一見すれば男子3人女子2人という普通の班なのだが、不良と普通生徒の比率にしてしまえば4:1の偏った班だった。担任の斯波(しば)にもそれで大丈夫か、一応再三の確認はされていたが、松寿はそれでいいと言って聞かなかった。

松寿には特に親しい者もおらず、

(自分はこんな扱いでいいか。)

と、自分で割り切っていた。



昨日、到着してから2時間ほど街中を探索する時間があったのだが、松寿は他の4人がおそらくこの時間にどこかに消えるだろうと予想していた。案の定、松寿は不良のリーダー格の作場(さくば)という生徒に

「先公にゃ嘘ついとけよ。」

と言われ、4人はどこかへと消え去ってしまった。

男子はよく停学になりそうな騒動を起こし、女子は援助交際疑惑がかかってるような生徒だったので、松寿としては自分が気楽で、向こうは適当にお遊びに興じられると、楽観的だった。

街中を巡っていて、巡回していた斯波に4人の事を聞かれたが、

「皆そっちの店の中を見てます。」

と、松寿は真顔でテキトーな方向を指さした。

反応は織り込み済みだったようで、斯波は

「まあ、この3日だけだ、我慢してくれよ。」

と言って、松寿の示した店にも向かわずに巡回に戻った。

移動する駅前に15分前について、なんとか戻ってきた作場たちを迎えて、松寿は1日目を終えた。



2日目。この日は日程の中に、希代山(きたいさん)という山に行く日程を組んでいたが、松寿はその日程を麓のどこかに切り替えないかと提案した。しかし、作場たちが普通の生徒の松寿の意見を聞き入れるわけもなかった。

今、松寿がホテルの窓から希代山の方角を見ると、希代山の中腹までを分厚い雲が覆っていた。

松寿が朝見た天気予報では、頂上に着く時間帯には晴れになると天気予報で述べられていた。だが、山の天気は気まぐれで変わりやすい。そして12月という冬の入りに、雲が覆う山へと行くのは、松寿は気が滅入りそうだった。

大方、教師陣が見回りに来ないような場所を探って、目星をつけたのが希代山だったのだ。頂上付近までは3段階でロープウェイが通じており、頂上付近で終わるロープウェイから少し歩けば、希代山の麓の街が一望できるそうだ。

(まあ、どうせまた目から逃れる口実なんだよねえ……。)

と、松寿は癖で右手親指の爪をかじって希代山のマップを眺めるだけだった。

かくして、松寿の班はそのまま希代山の頂上を目指すルートを取った。
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  • 大友昌信 04月25日
    小説「異能力の裁断 ~妖鬼譚~」を公開しました!

    「……正直さ、僕より蓮の方が強いよね。実力的にも精神的にもさ。
    だったら、やっぱり怪我を受けた時に僕が受けた方がいいんじゃないかなあ。」

    蘭の言葉に、蓮は大きく溜めた溜息を吐いた。

    「私は怪我の治癒で苦しむときの姉さんの言葉を聞いている時が、いっちばん辛いんですよ。だから大きなけがを受け負うのは私でいいんです。」
     #異能力の裁断 ~妖鬼譚~
    詳細・返信(0)
  • 大友昌信 04月24日
    小説「異能力の裁断 ~妖鬼譚~」を公開しました!


    思い出したように、蘭は蓮の後を追った。

    「今更何ですか。別に何か減るものでもないのに。」

    「今は駄目ー!恥ずかしいのー!!」

    松寿はその様子を眺めて、本当の二人の姿を見て笑った。

    と、松寿の後ろからも、二人の男女の笑う声が聞こえた気がした。

    松寿は振り向いた。しかし、誰もいない。

    だがわかっていた。蘭と蓮の両親は、ずっと二人の味方なのだ。
     #異能力の裁断 ~妖鬼譚~
    詳細・返信(0)
  • 大友昌信 04月21日
    小説「異能力の裁断 ~妖鬼譚~」を公開しました!初戦終了です……  #異能力の裁断 ~妖鬼譚~
    詳細・返信(0)
  • 大友昌信 03月21日
    小説「異能力の裁断 ~妖鬼譚~」を公開しました!  #異能力の裁断 ~妖鬼譚~
    詳細・返信(0)

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