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こぎブラ二次創作SS【戦え ブラック・カンパニー!】作・万丈穣様

短編小説
SF
オリジナル
2017年05月20日 21:31 公開
1ページ(5621文字)
完結 | しおり数 0

人喰星を通りかかったマリーンたち

さすあい

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漫画「こぎだせ!ブラックカンパニー」の二次創作ss第二弾です!!
「こぎブラ(清書の)」と「こぎブラアイ(14p)」の内容です。

https://coconala.com/services/230171 万丈穣様(ココナラ)
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「うじゃうじゃと何よ!」
 マリーンは、やけくそのように声を荒げた。マリーンとユエルンは二人、不気味な仮面をかぶった異星人と相対している。一見してとも思えない姿のものもいる。ユエルンは気丈にマリーンに寄り添っているが、マリーンの袖を掴む手が白くなるほど強ばっているのを、マリーンは目の端で確認した。
「マリーン……!」 
 袖を掴む少女を、どうにか守り抜かなければならない。下劣なストーカーに苦しめられ続けた美しい少女を、これ以上傷つけさせる気は無い。
 せめて、ブラックがくるまでは自分が護らなければ。 
 敵から目を反らさぬままマリーンは袖を掴むユエルンの手をそっと覆った。
「大丈夫、ユエルン。絶対にアンタには触れさせない」
(だから、早く来なさいよブラック!)
 何故二人がこうなったのか。それはつい数時間前に遡る。


戦え ブラック・カンパニー!

 
 コウヤ星での出来事のあと、ユエルンのツアーに専属警備員として同行することになった民間警備会社ブラックカンパニー。
 ユエルンとともにコウヤ星を出立してから一週間。ユエルンが移動に使う宇宙船の一角で、ブラックを初めとするメンバーは宇宙船に備え付けられていた警備室で各々が憩いの時を過ごしていた。
 その中の一人、近頃地球人であることが発覚したマリーンが、壁に映し出された宇宙地図のスクリーンを見てつぶやく。
「ねえブラック……ここらへんの星域、人喰星が近いんじゃなかった?」
 ブラックはいつものように見ていたアイドル映像から顔を上げた。ダークフェイスマスクは椅子の背にかけ、整った顔を露わにしている。
「人喰星?」
 首を傾げるブラックに、相変わらずドーブ星の被り物をしたままのブタオが反応する。それを機にクロッチョも話に参加した。
「六惑星間交流宣言以前に星流しされた人たちがすむ星のことだよね? マリーン」
「そう、ここらへんは特に人喰いで追放されて、そのまま居着いたタシュ星人が多いから気をつけろって言われてなかった?」
 その言葉に、ブラックも怪訝そうな顔になる。クロッチョも一つの目をすがめて腕を組んだ。
「確かに、タシュ星人は本当に多種族いるからなあ」
「この船はギュチチのだから大丈夫なんじゃないかしら」
「でも、この船、ほとんどよ」
 マリーンの言葉に、四人は目を見合わせる。
「知られたら、狙われそうよね」
 深刻な面もちのマリーンたちをぐるりと見回したブラックは、机を叩いて立ち上がる。三人の視線を集め、ブラックは拳を握った。
「大丈夫さ! ユエルン・ファンクラブの俺たちがいるからな! ユエルンには指一本触れさせん!」
 意気揚々と宣言するブラックに、ブタオとクロッチョがあきれたような親愛の視線を送る。結局、この男は肝心な所で人の心を鼓舞するのが上手い。それと同時に、鈍感が高じて逆撫でるのも上手かった。
「ファンクラブ会員はおまえだけだろうが!!」
 美しく決まったつっこみに、ブタオとクロッチョはいつものことだと肩を竦めた。
 そんな折りに、警備室に入ってきたのは愛らしい私服姿のユエルンだった。思わず視線が集まる中、緊張しているのかドアの端からギュチチ星の被り物と、ルビーのように赤い目が覗く。
 ユエルンがこの警備室に単身でやってきたのは初めてだった。
 雷にでも打たれたかのようにブラックが飛び上がる。
「ゆっ、ユユユユユユユユユ……!」
「うるさい!」
 壊れたレコードのように同じ音を繰り返すブラックに、マリーンが冷たい目を向けて叩きのめす。
(相変わらずユエルン馬鹿……私の気も知らないでさ)
 思いこんだら一直線なドルオタになってしまった幼なじみに、呆れ果てていても、マリーンはユエルンを妬む気にはなれなかった。ユエルンを妬むほどマリーンはブラックに期待していなかったし、何より一週間とはいえユエルンのことを直接知ってしまった今、彼女を不当に妬むことはできなかったからだ。
 コウヤ星でひどく怯えていた姿を覚えている。それでもその恐怖を克服してステージに立つユエルンのことをマリーンはむしろ尊敬さえしている。最近では妹のように懐いてくれるのもまた愛らしかった。
「風呂でも入ってな、ブラック。……ユエルン?」
 マリーンの優しい声に、ユエルンはぱっと顔を明るくさせる。
「マ、マリーン!」
「どうしたのこんなとこまで。居住区から離れてるのに」
「う、うん。……ちょっと話があるんじゃが、よいか?」
「いいよ、どうせ暇だし。じゃあちょっと行ってくるね」
 ユエルンに手を引かれて、マリーンは外にでた。その後ろで、ブタオに羽交い締めにされて暴れる幼なじみの姿から、マリーンは故意に目をそらした。


「で、ユエルン。どうしたの?」
 警備室から少し離れた宇宙船内にしつらえられた公園の一角で、マリーンは口火を切った。高い天井には暗い宇宙に浮かぶ、ダイヤモンドをまき散らしいたような満天の星空が見える。
 ベンチに座って黙りこくるユエルンを、マリーンは強いて急かさなかった。まだ15歳の少女の、薄紫色の旋毛を見つめながら、ゆっくりと待つ。どうせやることもなく、暇を持て余していた身だった。
「……マリーン」
「ん?」
「…………わらわを嘘つきだと思うか?」
「何で?」
 ユエルンは、唇をぐっと噛みしめて顔を上げた。マリーンに顔を向けたユエルンのうっすらと潤んだ赤い瞳は、彼女の激情を透かして見せている。
「わらわは、あのコウヤ星でスタッフのみんなも、おぬしらも怖くないというた」
 マリーンは頷くことでユエルンを促す。ユエルンは自分を責めるように言葉を続けた。
「でも、まだどこかでわらわはおぬしたちを恐れておる。被り物をしておっても、おらんでも、スタッフのみんなのことは大事じゃと思う。じゃが……、一瞬だけ、怖いと思うてしまうのじゃ。今まで一緒にがんばってきたスタッフのみんなじゃとわかっておるのに……。わらわは嘘つきじゃ……」
「……そっか」
(それもそうよね……。この子の受けた恐怖は、生半可なことで消えるようなものじゃない。それが当たり前なのに……)
「ユエルンはいい子だね」
 マリーンはユエルンのまだ少女めいた頬を両手で挟み込んだ。ユエルンが目を見開く。その目の中に、ぎこちなくとも微笑む自分が見えた。
 この子を知る前、マリーンはずっとブラックを奪ったこの子に嫉妬していた。しかし、今ようやくその想いから解放されているような心地になっている。
「地球人が怖いのも当然だよ。あんなに怖いことがあったんだからね。それを申し訳ないなんて思わなくていいの。……ユエルンはスタッフのみんなが嫌い?」
 その質問には、ユエルンは勢いよく首を振る。
「そうじゃない、じゃが、じゃが……」
(怖がってしまう自分が、ふがいないってわけね)
「じゃあ、ユエルン、考えてみて。もしもさ――」
 マリーンの言葉は、ユエルンに届くと同時にかき消された。爆音。公園の電気が消え、船体が軋む。音のする頭上を睨みつければ、天窓の向こうに何かが蠢いている。再び爆音。船内警報が鳴り響き、ユエルンを探す放送が入る。
「マネージャー……!」
「行くわよ、ユエルン!」
 尋常ではない様子にマリーンはユエルンを庇うように立ちあがる。ユエルンの手を引いて公園から逃げようとする二人の前に、何人もの覆面のものが立ち塞がった。天窓の近くにあるハッチをこじ開けてきたのだろう。まだ宇宙服を着たままのものもいる。
「何よ、あんたら」
「ニンゲンだ。ニンゲンばかりだ」
「売れるぞ売れるぞ」
 妙な片言に応じて侵入者たちがざわめく。その声の訛に気がついたマリーンは眉を潜めた。
「……六惑星間交流宣言以前に使われていた言葉? 六惑星共通言語とは異なる……。あんたたちもしかして」
「うまそうなにんげんだ」
 そのおぞましい言葉に、ユエルンが肩を竦ませる。ユエルンに手を伸ばしてきた男を、マリーンは叩き落としざまに地面にたたきつけた。相手の勢いと体重を利用する柔術に関しては、マリーンはブラックにさえひけをとらない。
「ったく――うじゃうじゃと何よ!」
 そして冒頭に戻るのである。
 
 
「ユエルン、私から離れないでね」
 気丈に振る舞うユエルンを背に庇いながら、マリーンは公園の壁際に寄る。じりじりと輪を狭めてくる侵入者たちは、マリーンの気迫に飲まれて攻めきれずにいるようだった。先ほど引き倒した侵入者の一人がまだうめき声を上げたまま倒れているのも侵入者を戸惑わせる原因になっているのだろう。
(それでいい。守りながら戦えるほど私は強くない……時間さえ稼げば)
「大丈夫、そのうち助けがくるから。――私たちに初めに近づいたやつから、地面とキスする羽目になるからね!」
 威勢のいい啖呵とともに、マリーンの青い瞳が鈍く光る。
 公園から場違いに明るい声が聞こえてきたのは、その瞬間だった。
「おー、流石マリーン! それでこそわがブラックカンパニーの精鋭だな! よくぞユエルンを護ってくれた!」
(ブラック!)
 ダークフェイスマスクをはずし、八重歯を光らせて笑うブラックに、マリーンの胸が高鳴る。しかし口から飛び出るのは、かわいげのない言葉だった。
「遅い!」
「いやはは……。ヒーローは遅れて登場するものだろう?」
 ブラックは一瞬で表情を変え、底冷えするような気迫をもって侵入者を睨みつけた。
「……ユエルンとマリーンを傷つけようとは、このブラックの逆鱗に触れたな!」
 ブラックが怒声とともに駆け寄る。その勢いに侵入者が一歩退いたところを、マリーンはすかさずユエルンの手を引いて包囲網を突破した。ブラックに合流し、そのまま侵入者が追いかけてくるのを感じながら公園の出口に向かう。
「流石マリーン。ユエルンも怪我はないか?」
「わらわは平気じゃ。マリーンがずっとわらわを助けてくれたのじゃ」
「そんな言われるようなことしてないわよ」
 マリーンは苦笑する。
「ん? ずいぶんと仲良くなったんだな。ずるいぞマリーン! おれだってユエルンと……」
 ブラックの言葉に、二人は顔を見合わせて笑う。うしろでごちゃごちゃと文句をつけているブラックに、マリーンはユエルンの手を渡した。
「ユエルンを管制塔に。マネージャーさんのところに連れてって」
「わかった。任せたぞ、マリーン!」
「えっ、マリーン?」
 ブラックはユエルンを抱き上げて走るスピードを上げる。驚くユエルンが声を上げるが、マリーンはその場に立ち止まって、おいすがる侵入者の前に立ちふさがる。
「ったく、仕方ないわね。任されてやるわよ」
「マリーン! マリーン!!」
 ユエルンが手を伸ばすが、ブラックに抱えられている状況ではどうしようもない。
 曲がり角で姿が見えなくなると同時に、何かがたたきつけられるような音がした。
「マリーンが! ブラック、なんでマリーンをおいていくんじゃ!」
「大丈夫、マリーンは強いから。それよりも、ユエルンを連れて行く」
「だが、何かあったら大変じゃ……わらわのことはいいから、早くマリーンのところにいってくれ!」
 涙目で訴えるユエルンに、ブラックは八重歯を見せて笑う。
「大丈夫、マリーンを俺は信じてるからな!」
 


「――……やっぱり、マリーンなら大丈夫だと思ったよ」
「遅いわよ。ユエルンは?」
「ユエルンは大丈夫。マネージャーさんに飛びついてたとこもすっげーかわいかった!! それでずっとマリーンのこと心配してたぜ。やっぱりいい子だよなー!! そういうアイドルなかなかいないもんなーやっぱりユエルンは最高だぜ!」
「変態」
 マリーンは肩を竦めて罵ると、手に持っていたものを放りだした。地面に崩れ落ちるのは、侵入者の一人だった。
「でも、やっぱりかっこいいな、マリーン」
 思わず漏れたブラックの言葉に、マリーンは目をぱちくりとさせて白磁の頬を赤らめた。
 ブラックは周りを見渡す。死屍累々――その言葉がこれ以上に似合う場所は無いだろう。マリーンに手を出そうとした侵入者はことごとく地面と友情を築く羽目になったことが容易に想像できた。
(ユエルンを護って本気を出さなかったんだろうなあ)
 ブラックはこの幼なじみのことが、時として自分のこと以上にわかるような時がある。しばらくすれば別の場所で侵入者と相対していたブタオやクロッチョからも連絡が入り、全ての侵入者の沈黙を確認する。縛り上げた侵入者は宇宙警察に突き出せばいい。
「マリーン!」
 安全になったとたん管制塔から飛び出したユエルンは、一目散にマリーンに抱きついた。
「ありがとう、マリーン!」
「大丈夫だった?」
 その姿は、まるで姉妹のようでもある。
「マリーンの言うとおりじゃ。マネージャーや、スタッフのみんなが、マリーンが、ブラックがわらわを護ってくれた。わらわも、みんなに合流したら心がほっとした……、こういうことじゃな、マリーン!」
 きらきらと目を輝かせるユエルンに、マリーンは屈託のない笑みを浮かべた。
「でしょう? ならもう、大丈夫よ」
 その笑みの優しさに、ユエルンを追いかけてきたスタッフも目を奪われる。
「何の話だ? マリーン」
「アンタには内緒。ね、ユエルン」
「うむ!」
 二人は目を見合わせて頷きあう。
 その姿を見て、マネージャーが小さくつぶやいた。
「アイドルユニットも……いいわね」
 それが実現するのは、そう遠くない話である。



――もし、ユエルンが怖い目にあったとき。誰と一緒にいて欲しいと思う? 姿も形も関係なく、そう思える人が、ユエルンにとって大事だって言う証よ。

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