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ただしイケメンに限る

短編小説
恋愛
オリジナル
2017年06月22日 20:00 公開
1ページ(2933文字)
完結 | しおり数 0


おねこいる。

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「俺から離れるの禁止」

一度はいって見たいセリフ。

だけど。
このセリフ。
俺みたいな醜男が言えばどうなるか?
当然のことながら、気持ち悪がられる。

だから、言いたくても言えない。

こういうかっこいいセリフは、決まってこうなる。
決まってこう言われる。

「ただしイケメンに限る」

そんな世界だ。
俺ら醜い男は、何を言っても気持ち悪がられる。

肯定すれば、「童貞の夢ざまぁ!」
否定すれば、「童貞の僻み根性!」

なにを言っても避けられる。

なんなんだよ。

一体俺は、なにをした?

本当に腹がたつな。

そう思いながら今日も生きる。

雨が降る。

そりゃ、そうだろう?

だって今は6月。
6月の雨だ。

雨にも自分にも腹がたつ。

俺は、傘をさす。

目の前に綺麗な女の子が、立ち往生している。

傘を持ってないのか?

声をかけようとした。
知っている顔だからだ。
でも、なんていう?

「一緒に入る?」

ふざけるな。
これこそただしイケメンに限るだ。

俺は、無視してその場から離れようと距離を取る。

すると向こうから声をかけてきた。

「入れてくれないの?」

その声には悲しみが込められてきた。
でも、俺は固まるしかできない。

「別にいいよ」

女の子は、そういうとチャラそうな男の人に声をかける。

「傘に入れてー」

チャラそうな男は嬉しそうに笑っている。
まぁ、そうだよな。
あんな綺麗な人に声をかけられて嬉しくないわけない。
このあとホテルに行くとかゲスな考えしか浮かばない醜い俺。
顔がそこそこいけているイケメン。
どっちを選ぶかは、考えなくてもわかる。
でも、なんでだ?
女の子の顔が不安そうだ。
ちらちらこちらを見ている。
あぁ。
そんな顔をされたら。

「平野さん入る?」

なにを言ってるんだろう俺は。
怖がられる。
気持ち悪がられる。
今すぐ逃げたい。

そう思っていた。
すると、平野さんがほっとした顔で俺の方をみる。

「うん」

平野さんが、小さく笑う。
かわいい。
かわいい。
かわいすぎる。
その顔だけでご飯が食べれそうだ。

俺は舞い上がる気持ちを抑えながら平野さんに傘を差し出す。

チャラい男は、不満げに舌打ちするとその場を去る。

でも、俺の胸が張り裂けそうなくらい嬉しい。

俺は、平野さんが濡れないように傘を調整しながら歩く。
意外と難しい相合傘。
それでも俺は、この雨に感謝した。
このひとときを。
このしあわせを。
感じながら。

あっという間に平野さんのマンションにたどり着く。

何を隠そう俺のマンションは、平野さんの部屋のお隣さん。
見知った顔なのは、そのせい。
そして、職場も同じ。
この時点でなんかのフラグが立つんじゃないかと思うけど。
俺らブサイクな人間にはフラグはない。

「ありがとう」

平野さんが照れくさそうに笑う。

「うん」

俺も照れくさい。

すると平野さんの部屋から男の人が顔を出す。

「あ、エミ。おかえり」

その男の人は、イケメンだった。

「あ……」

平野さんの彼氏かな?

でも、それにしては表情が暗い。

梅雨の雨に隠れて彼女の目に涙も隠れる。

「平野さん?彼氏さんが待ってるよ?」

「うん」

平野さんが下唇を噛みしめる。

その彼氏は俺を見るなりすごい形相で、俺を睨みそして殴ってきた。

「あーくん!」

平野さんが、その男の腕を掴む。

すると俺は今更になって気づいた。
梅雨でも暑さの残るこの時期に長袖を着ていることに。
そして、その袖の奥にある火傷の跡。

「平野さんその火傷は?」

俺がそう聞くと平野さんは目に涙を浮かべる。

「お前には関係ないだろう?」

男がそう言った。

そして、再び俺を殴る。
何度も何度も。
目に映るのは、泣いている平野さん。
そして雨。
俺は無性に腹が立ったきた。
この暴力的な彼氏に?
いや、なにもできない自分にだ。

俺は、その男の顔を一発殴った。

男は驚いている。

多分、今まで誰かに殴られたことなどないのだろう。
男の顔は今にも泣きそうだ。

だから俺は大きな声でいった。

「もう、平野さんに近づくな!」

ここで、大きな声を出せば近所の人も顔を出すだろう。

喧嘩では勝てる気もしない。
でも、こうすれば近所の人も味方になったくれるかもしれない。
そう願いを託して。

すると案の定、近所の人が顔を出す。

「兄ちゃんどうした?」

少し強面のおっちゃんだ。
ヤクザかな?

そう思ったのは、俺だけではないようだ。
この男もそう感じたのか舌打ちすると部屋に戻った。
鍵を閉める音がした。

「えっと」

俺はなにをいっていいか困る。

「締め出しくらっちゃった」

平野さんが、悲しそうな声でいった。

服は濡れ、俺も平野さんもびちょびちょだ。

俺は、イケメンならなんていうか考えた。
引かれてもいい。
嫌われてもいい。
俺は言ってしまった。

「うちにくる?」

「え?」

平野さんが困っている。

「なにもしないから」

そういった。
安心してもらえるかな?

すると平野さんが笑顔でうなずいた。

「お世話になります」

そして、俺は部屋の中に招き入れた。

「シャワー浴びる?」

「え?」

平野さんが戸惑う。

「いや、風邪ひくとダメだから」

「あ、うん」

平野さんが、うなずく。

そして、平野さんがシャワーを浴びる音が響く。
俺は気を紛らわすためにテレビをつけた。
でも、シャワーの音が気になる。
溢れ出る欲望を抑えながら俺は、新しいジャージを洗面台に置いた。

そして、素早く去る。

それから、数十分後。

「ジャージありがとう」

平野さんの笑顔が眩しい。

「うんん」

俺は照れながら笑った。

「君もシャワーに入ったきたら?」

「うん」

俺はうなずいた。

そして、シャワーを浴びた。
なんだろう。
緊張する。

体を念入りに洗った。

シャワーから出る。

ベッドのうえで、平野さんが上目遣いで俺を見ている。

「してもいいよ?」

「え?」

俺は驚く。

「って私みたいな傷物いらないよね」

「そんなことないよ?」

「じゃ、貰ってくれる?」

「うん」

俺は、言葉の意味を理解しないでうなずいた。

「ありがとう」

平野さんが俺の唇にキスをした。

「ん?」

なにが起きたのかわからない。

ただ俺の初めてのキスは強引に。
そして、優しく奪われた。

でも、こういうのも悪くないなって思う。
もうどうにでもなれ。
そんないい加減な気持ちで平野さんの舌を絡めた。

甘い甘いキスを。

僕らはかわした。









そして、数日後。

「待ってー」

平野さんが嬉しそうに笑っている。
彼氏は、大家さんの立会いの元出ていってもらった。
日頃から暴力を受けていた。
それは、平野さんの体にある無数のタバコのあとを見ればわかる。

でも、平野さんが今。
笑っている。
ただそれだけで、俺は嬉しかった。


……おわり

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