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2017年07月07日 22:02 公開
1ページ(853文字)
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るうね

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 血を吸えなくなると生死にかかわる。
 これが吸血鬼側の主張だった。
 こちらは生死がかかっている。それに比べれば、人を襲えなくなるというのがなにほどのことがあるか、と。
 冗談ではない、とゾンビ側は反論する。
 ゾンビが人を襲う、というのはいわばアイデンティティである。人を襲わないゾンビなど、もはやゾンビではない。動く腐乱死体というだけだ。そんなものに存在価値があるのか。アイデンティティの消失は、ある意味、生死よりも重いのである。
 何を言う、と吸血鬼側はいきり立つ。
 お前らは別に、人を襲わなくても生きていけるではないか。我々は人の血を吸わねば生きていけない。生き死に以外に、大切なものなどこの世にあるか。アイデンティティの消失など、しょせんは生を約束されている存在にのみ許された贅沢である。
 ゾンビ側は断固として譲らない。
 アイデンティティを失ってまで存在し続けることに、なにほどの意味があると言うのか。そんな生に価値はあるのか。それならば、いっそのこと滅びた方がましだ。
 じゃあ滅びろよ、と吸血鬼側。
 アイデンティティなどという大層な代物は、生という土台があってこそ輝くもの。土台を失えば、地面に落ちて割れてしまう脆い芸術品のようなものだ。芸術品の輝きに目がくらみ、土台をないがしろにするなど本末転倒の極みである。
 なんだと、このくそ蝙蝠が、とゾンビ側は歯をむき出しにして怒る。
 土台なんていくらでも代わりがきくじゃないか。芸術品はまさしくオンリーワン。割れてしまえば全く同じものを作ることなどできはしないのだ。その事実に目を向けずに、土台の重要性を語る浅はかさときたら。
 なおも、喧々諤々(けんけんがくがく)の議論は続く。
 ようやく両者に疲れが見え始めてきたところで、双方の代表者がこちらを向いた。
「あなたはどうしたいですか」
「一生、吸血鬼に血を吸われ続けるか、それともゾンビに襲われ続けるか」
「勝手にしてくれ」
 人類唯一の生き残りである俺は、投げやりにそう言った。

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