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夜のフクロウ 朝のニワトリ

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2017年08月18日 00:35 公開
1ページ(1998文字)
完結 | しおり数 0


maybePURIN

表紙提供:by ヘンリエッタ
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誰も知らないことだけど、ある世界には夜を司る鳥と朝を司る鳥が1羽ずつ住んでいる。
夜を司るのは、夜の空のような真っ黒い体に月みたいな静かな黄色の目を持つフクロウ。
朝を司るのは、朝の空のような真っ青な体に太陽みたいな燃える赤い目を持つニワトリだ。
2羽は、ずうっとずうっと昔から、2羽の他には誰もいないくらい山奥にある巣に一緒に住んでいる。

夜のフクロウの一日は、巣の中でゆっくりと目を覚ますことから始まる。
フクロウがまだ寝ぼけてぼんやりしたまま顔を上げると、決まって目の前にはフクロウと同じように意識が朦朧としているニワトリがいる。こちらはこれから睡眠をとるんだ。
そうやってしばし、2羽は向かい合ってうつらうつらする。その間は、空が夕焼けに染まる。
やがて、フクロウの意識ははっきりし、完全に目を覚ます。
同時に、ニワトリの意識はなくなり、完全に眠る。
フクロウが目を覚ますと月が昇り、ニワトリが眠ると太陽は沈む。夜になるんだ。

「おやすみ、ニワトリ」
どこか寂しそうにそう呟いて、フクロウは巣から飛び立つ。
夜になった世界を、フクロウは空を飛び回って見守る。
夜に活動する生き物達も。
心地よい静寂を抱えた闇も。
全てを照らす月も。
フクロウはみんな大好きだ。

この世界の生き物達は時々、夜に頭上を何かが飛び去っていくのを感じることがある。
見上げても何もいないので、気のせいだと解釈してすぐに忘れてしまうのだが。

ニワトリと交代する時間になると、フクロウは巣に戻ってくる。
巣の中に座るとすぐに、こっくりこっくりし始める。
同時に、向かいに座って寝ていたニワトリは徐々に目を覚まし始め、寝ぼけ眼でフクロウを見つめる。
そうやってしばし、2羽は向かい合ってうつらうつらする。その間は、空が朝焼けに染まる。

「おはよう、ニワトリ」
ぼんやりした目でニワトリを見つめながら、どこか寂しそうに心の中でそう呟いて、フクロウは夢も見ない深い眠りに落ちていく。

フクロウが眠ったのと同時に、ニワトリはぱっちりと目を覚ます。
ニワトリが目を覚ますと太陽が昇り、フクロウが眠ると月は沈む。朝になるんだ。



「おやすみ、フクロウ」
どこか寂しそうにそう呟いて、ニワトリは巣から駆けだす。
朝になった世界を、ニワトリは地面を走り回って見守る。
朝に活動する生き物達も。
元気なにぎやかさを抱えた光も。
全てを照らす太陽も。
ニワトリはみんな大好きだ。

この世界の生き物達は時々、朝に足元を何かが走り去っていくのを感じることがある。
見下ろしても何もいないので、気のせいだと解釈してすぐに忘れてしまうのだが。

フクロウと交代する時間になると、ニワトリは巣に戻ってくる。
そうしてまた、2羽は一緒にうとうとする。

「おはよう、フクロウ」
ぼんやりした目でフクロウを見つめながら、どこか寂しそうに心の中でそう呟いて、ニワトリは夢も見ない深い眠りに落ちていく。
それと同時に、またフクロウが目覚める。そうしてまた、夜が始まる。

毎日毎日、1日の例外もなく、これが繰り返されている。



気付いただろうか。
2羽は同じ巣に住み、同じ重要な役目を持ちながら、一度も話をしたことがない。
自分が起きている時は相手は眠り、相手が起きている時は自分が眠ってしまうから。
うとうとしている時は眠くて眠くて声を出すことさえできなくなってしまうし、眠ってしまった相手は、大声で話しかけてもゆすっても叩いても、絶対に起きない。
第一、もし2羽が同時にはっきり目覚めてしまったら大変なことになる。
朝と夜がいっぺんにきて、この世界のありとあらゆる生き物達が混乱に陥ってしまうから。
2羽が同時にぐっすり寝てしまっても大変だ。
朝も夜も来なくて、やっぱり生き物達がパニックになってしまうから。

そんなわけで、2羽はお互いに相手がどんな性格で、何が好きで、何を考えている鳥なのかをまったく知らない。知っているのは、相手に与えられている役割だけである。

分かっている、フクロウもニワトリも、自分の役割を果たさなければならないことは分かっている。
分かっているんだ。

でも本当は、相手を知りたい。仲良くなりたい。
他愛ない内容でもいいから言葉を交わしたい。
自分が大好きな世界を相手に見せてあげたいし、相手の見ている世界を見てみたい。
何よりも、いつも自分が寝ている間に世界を見守ってくれて、今日も自分に大好きな世界を見せてくれてありがとうって伝えたい。

だけど、それは決して叶わないから。

たくさんの生命のいつも通りの生活のために、今日も2羽は、かわりばんこに目覚め、かわりばんこに眠る。
お互いが同じことを望んでいることにさえ気付かずに。
この先もずうっとずうっと「おやすみ」と「おはよう」を繰り返して。

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