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シード

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2017年09月07日 20:00 公開
1ページ(1221文字)
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ck2

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最初に火があがった。

青い花が燃えていないかを確認するために、私は火の上がる方へ走った。
出火もとは隣の家の台所からだった。
その台所に隣接している私の家のベランダの隅に植えた花は燃えてしまったかもしれない。

見つけた、二、三本まだ燃えていない花があった。

炎を前に私は花の茎をつかみ、地面から根っこごと引き抜いた。そして花を手に、家の近くに流れる河原の方へと走った。
水の中にざぶざぶと入る。ここまでくれば火の心配もしなくていいだろう。
空気が乾燥している季節だからだろうか、火は勢いよくよく燃えていた。




顕微鏡で見ないとわからないぐらい、その花はとても小さかった。理科の授業中、こっそり持ち込んで花の色を見たのだ。青色というより、藍色と言った方が正しいかもしれない。宝石の粒を埋め込んだような花だった。


二年前の海外旅行で、私はその花の種を手に入れた。母と二人で行ったが、現地では別々に行動した。
大きなマーケットの奥まったところに、小さなお花屋さんがあった。店へ入ってまず目に入ったのは、奥の作業台で、店員さんがかすみ草とバラのブーケを作っているところだった。
立ち尽くしていたら、近くにいた店員さんが目の前にやってきた。よかった相手にしてくれそうだ。

私は新しく建った自分の住む家になにか新しい花を植えたくて、花の種を買おうと旅行前から決めていたのだ。

「シード、シード」と話しかける。すると店員さんは店の角にあるほうへ私を促した。小さな袋に種が包まれて、壁一面にその袋がぶら下がっているところへ案内してくれた。

袋の中には種と一緒に、咲く花の説明書きがあるようだった。
文字が理解できないのでどれを買えば良いかわからず迷う。よくよく観察すると、種の袋がかかっている壁に赤色で矢印が書かれているものが三つあり、それぞれNo.1、2、3とも書かれてあった。多分オススメの物なんだろうと思う。素直にNo.1の矢印が付いていた種を買うことにした。


会計はとにかく高い紙をだしておつりをたくさんもらう。海外ではいつもそうやって買物をしていた。買った種の値は高いのか安いのかわからなかった。




旅行から帰ってきて私はすぐに種を植えた。
五日過ぎた頃には双葉が出て来て順調に育っていった。
しばらくたつと、星の形をした葉が生えてきた。まるで楓のような葉だな、と私は思わず口にした。




火事があってから三日後、住んでいた家に帰ってこれた。出火した隣の家はほぼ全焼していたが、私の家はベランダの柵が焼けただけだった。

焼けた場所はこげた臭いがまだ(ただよ)っていた。私は燃えてしまった花の場所を何気なく見た。するとそこには、真っ赤な真珠のような小さな玉が沢山落ちていた。


私は思わず赤いそれを口にしていた。


噛むとくしゃりと歯触(はざわ)りがした。

まるでかすみ草の花を食べている気がした。


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