メクる

累計 16034528 スキ
BL・アダルトの
切り替えはこちら

あきあかね

短編小説
その他
オリジナル
2017年09月26日 10:33 公開
1ページ(1583文字)
完結 | しおり数 0


toritara

  • 閲覧数

    40

    1873位

  • 評価数

    0

    1535位

  • マイリスト

    0

    1320位

フォント
文字:--%
行間:--%
梅雨前に植えられた田んぼの稲は夏の終わりごろになるとすっかり青色から黄金色に変わってくる。
あれほどうるさい位鳴いていたセミももうどこかに行ってしまい、秋の虫たちがこれからは自分たちの出番とばかり鳴くようになった。

僕たちは田んぼのあぜ道を何となく走っていた。

大型のコンバインが大きな音をたてて器用に稲を刈りとって一気に米粒だけにした籾を袋詰めにしていく。
そんな様子は見なれた光景だけど今日はちょっと違う。
なぜって今日はいつもと違うんだ。

僕たちの学校は田んぼの端のほうにあり誰もがそのあぜ道を通って登下校する。
言わば通学路で一般車両が入って来ないので安全な道だって大人たちは胸を張って言う。
そのあぜ道を今日は僕が秘かに思いを寄せている女子と一緒に自転車で走っているんだ。
そんなときめいた気持ちに気が付いたのは入学式の時だった。

同じクラスになり靴箱が近かった彼女が入学式の朝僕ににこっと笑っておはようって。
僕はびっくりしたよ。だってそれまで口も聞いたことが無いし、こんな事を言うと怒られるかもしれないけれどそれほど美人じゃない。
僕の趣味とちょっと違っていたから。
でも、あの時、「おはよう」って笑顔で言った君の姿に思いっきり胸がドキンと潰れるかと思った。
それから何となく君のことが気になりだしてそれとなく女子同士の会話に聞き耳をたてたり、部活で頑張っている姿を探したり。

なんか変なんだよね。

ぼぉっとしている時なんか君が何をしているのかななんて考えたり、他の男子と話をしている姿を見かけるとどうしてか胸が痛くなったりしてさ。
それなのに自分から話しかけられない自分が情けないって思うけど、話しかけて何を話していいのか分からない。そんなジレンマにため息が出てしまう。
今日はたまたま昇降口で鉢合わせになりそのまま自転車置き場に行き、一緒に帰るような恰好になった。
特に話す事が無いまま着かず離れずの微妙な距離で歩く僕はどうしていいのか、
何を話していいのか分からずうつむいているばかりだった。




校門を出るときにうるさい奴らが

「お なんだよ、いい感じじゃん。
  へぇ お前たち付き合ってんのか?」

そんな言葉を掛けるから余計にテンパってしまい
答えられないまま自転車のペダルを踏む足に力が入った。
慌ててしまった僕は足を滑らせてペダルをガチャガチャと鳴らすし、ハンドルはガタガタとブレて彼女の自転車にぶつけてしまった。
「きゃっ」と小さな声をあげて彼女が自転車と一緒に倒れこんでしまった。
僕はもう慌てまくってしまって自分の自転車を放り出して彼女に
「ごめん ごめん ごめん」
もう、それしか言えない。
いたたまれない気持ちで消えたくなった。

そんな僕をおいて彼女は何も答えずに自転車を立て直すとさっさと走り出した。
それ以上何も言えずに僕は彼女のあとを追いかけた。

あの時、あいつらに何て言えば良かったのかなんて事が頭の中をぐるぐる回り、
どうしたら彼女と話をすることが出来るんだろうってそればかり考えていた。
知らないうちに彼女を追い越していた僕に田んぼのあぜ道の真ん中あたりに来ると

「私さ、ほんのちょっと気になっていたんだ君のこと」

彼女は自転車をこぐ速度を急に上げて、僕を追い越し様に後ろも振り返らずにそう言ったように聞こえた。

え、それってどういうこと。

僕は慌てて聞き返そうとしたけど、風で翻っている彼女のスカートの横を飛ぶ無数のあきあかねがまるで僕に聞き返すなよって言っているようで言葉を飲み込んだ。

「ねえ あのアキアカネと競争しない?」

先を走る彼女が振り返りながら頬を染めて笑った。

「これってデートだよね」

うつむき加減で恥ずかしそうに言う彼女がなんだかまぶしくて、僕は。

スキを送る

累計 0 / 今日 0


残スキ 300

『スキ機能』とは?
『スキ機能』とは『スキ』ボタンを押すことで作品や作者を応援できる機能です。
※拍手機能に類似した機能です。

[スキ機能のルール]
※1人あたり1日に300回まで『スキ』を送ることができます。
※1作品でも複数作品でも合計が300回まで『スキ』を送ることができます。
※『スキ』は1スキ、『大スキ』は10スキ、加算されます。
※1日に与えられるスキの数は毎朝4時にリセットされます。
※自分の作品にはスキ機能は利用できません。
※『スキ』は匿名で作品に送られます。

スキ!を送りました

作品を評価する

toritaraさんを

フォローしたユーザーの
作品投稿やつぶやきなどの最新情報を
マイページでチェックできます

マイリストに登録する

この作品につぶやく

#あきあかね
 

500

みんなのつぶやき 一覧

イメージレスポンス(0) 一覧

この作品へのイメージレスポンスはありません

タグ一覧 編集

この作品にタグはありません

友達に教える

  • ツイートする
  • イイネ
  • なうで紹介
  • はてなブックマーク
  • GoogleOne

この作品を見た人はこんな作品も 一覧

作者の投稿小説(22) 一覧

作品登録マイリスト 一覧

登録された公開マイリストはありません

その他


コーナー R

作品宛みんなのつぶやき

もっと見る

作者の他の作品一覧

一覧を見る

copyright (c) 2013-2017 メクる Co.,Ltd. All rights reserved.