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空に泳ぐ錦鯉

短編小説
ミステリー
オリジナル
2017年11月06日 17:40 公開
1ページ(960文字)
完結 | しおり数 0


ふしきの

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ハロゥインと死者の祭り記念作
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古い友人が工房を開いたと聞いて、私は出かけてみることにした。
場所は少しばかり治安が悪い所ならしくタクシーも手前付近の道路で降ろされた。
くねくねと曲がる舗装の取れた海沿いの道。
そして、その奥の猫車しか通らないような、砂利道の路地の一角に彼女の工房らしきものがあった。
ありふれたトタンの一角に。

そこが彼女の工房だとわかったのは、開けっ放しのガレージから恐ろしいほどの熱が充満して誰一人近寄るものがいなかったからだ。

「久しぶり」
私が来たことが気配でわかったかのように手を止めてくれた。
出入り口に木製の椅子を出してくれて、二人で炭酸水を飲んだ。

彼女の作品は色々と変わっていた。
だが、一貫して魚だった。

今度はガラス工房だと知って、商品の一部を触った。
小さいぽっぺんを私は吹いて遊んだ。
ぽっぺんが『ペコン』と鳴ると、サワサワと涼しい風が拭いてくるようだった。
「売り物だからあまり遊ばないでよ」
と、怒られた。
『ポ、ペコッ』
「ああ、こいつらか」
私は空を見上げた。
工房の天井で魚が泳いでいた。
錦鯉の大きな魚は10匹はいただろうか。
鮮やかな色で心臓にぼんやりと明かりが灯っている。
暗い工房にほんのり涼しさと優しさが漂っていた。

「売り物?」
「よく売れるわよ」
「…でも、これ」
「そう、胸は鬼火」
「ちょっと大変そう」
「ガラスで覆われているからそこそこ逃げないし、何より鬼火は他の悪鬼を吸って育つから、小児科とか重症病棟にレンタル契約が多いのよ。天井に泳いでいる姿は綺麗だし、何よりこいつらにとっては栄養がたくさんあるからね」
彼女は笑う。
だから私も笑った。
「元気そうでよかったよ」
「あなたもね」
ガラス工房で鍛えられた逞しい腕が手を降ってくれた。
「その靴、いいわね」
「いつも通り目ざといね」
私は彼女の眼力にも感服した。
「登山シューズのスパイク付きだ。私のような脚長族は色々と目立つからね」
「高下駄や、工業用の鉄靴から進化して似合うわよ」
「売ってくれたやつに褒められたって言っておくよ」
「ふふふ」

私はすぐに下手をすると宙に浮いてしまう体を持っている。
だから昔は「すり足」と呼ばれた。
だけど、実は高脚なのだ。
今のところ踏んでいいのは悪人だけにしているが。

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