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とあるぬいぐるみの話

短編小説
ファンタジー
オリジナル
2018年01月21日 21:17 公開
1ページ(977文字)
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我輩はぬいぐるみである。名前はまだ無い。愛でてくれる手も無い。
この玩具屋のぬいぐるみの棚、上から二段目に座り早幾年。未だに買われることが無くただただ日々を過ごしている。
見目は悪くないと思う。至って普通の白犬だ。……埃やら日光やらで若干色が悪くなっているのは認めるが。
それを除けば特に悪いことは無いはずなのだがさて何故我輩は買われないのだろう。
一度隣に座る黒猫に問い掛けてみたが、どうでも良さそうに「知りません」と言われた。その黒猫も少し前に買われていった。
そうして我輩は一人、未だ棚の上に鎮座している。
最早買われることも無いのだろう。最近はすっかりと諦めている。きっとこのままずっとここにいるに違いない。
何とも寂しいが致し方ない。我輩にはどうすることも出来ないのだから。
そんなことを考えていたある日。老婆が我輩の方を見ていた。じっと見ていた。
何か面白いものでもあるのだろうか。思っていたら老婆は店員を呼び、我輩を手にしてレジへと向かう。
あまりに突然のことで理解が追いつかない。我輩は買われているのか?まさか。だって、今更、何故。
軽く埃を払われて、綺麗な赤い包装紙にくるまれて。老婆の腕に抱かれ、ゆらゆらと揺れる。本当に買われたのだな、と感慨深い気持ちになった。






老婆の家に着いた。がさりと包装紙を解かれた。
真っ先に目に入ったのは、棚の上に置かれた写真と花だった。その写真に写っているのは白い犬。
ああ、そういうことか、と腑に落ちた。我輩はあの写真の犬の代わりなのだろう。
涙が流れるわけもないのに視界が歪んだ。ような気がした。
「お友達がいれば、シロちゃんも寂しくないよねえ」
老婆がぽつりと言う。シロちゃん?あの写真の犬だろうか。
我輩は老婆の手により、棚の上、写真の隣に置かれる。そして老婆が言った。
「そうだねえ。白いし……ハクちゃんにしようかね」
ふふ、と老婆は笑い、我輩の頭を撫でる。それが我輩に与えられた名であることは簡単に理解が出来た。
「これからよろしくねえ、ハクちゃん」
優しく笑う老婆の目は、今まで見た人間の中で一番綺麗な物のように思えた。





我輩はぬいぐるみである。名前をハクという。
とある老婆の暮らす部屋。棚の上で先住のシロの写真の隣に座り、幸せな日々を過ごしている。




終.

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