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眩暈

短編小説
その他
オリジナル
2018年08月14日 06:29 公開
1ページ(1000文字)
完結 | しおり数 0

ふらっと、記憶が叫んだ朝に。

二色燕丈

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今でも覚えているよ。
とてもピアノが上手だった、けど歌は唄わなかった。
たまに思い出すことがあるんだ。

三年間、ピアノをずっと弾いていた合唱コンクール。
二年目くらいに私は指揮者をやった。
へたっぴだった。

君は難関校に行ったけど、
私は辛うじてな高校に行った。

本当はね、君は中学の中の一人だったのかもしれなくて。

今でも覚えているよ。
君はピアノが上手だった。

「…きっと覚えてないと思うんだ。
前に、中学の時に話したんだけど、私、中学に行く前までさ。
突然話せなくなっちゃったことがあったんだよ」

何事もない笑顔で言った23歳。
君が大学を出て地元に帰ると言ったときだった。

私はなんて答えたか。
多分、なにも答えなかったんだと思う。

「あの時もね、そんな感じだったね。
なーんも気にしないって、言ったんだよ」

そんなの覚えてなかった。
「え、覚えてないや」って言ったけど。本当は「そうだったのか」って、新しい気持ちの衝撃があったんだ。

「だと思う。本当に、何事もなく答えてくれたけど、だから忘れないんだ」

私はどうしたらいいんだ。
どうしたらいいかも聞けず、本当に明るく笑った君のこと、何年経っても思い出す。

あぁ、水の中のようだな。
右耳にそう思う日、
朝方が多いかな、
たまにそっちは思い出す。

私なんて答えたんだっけ。

思い出したいのにね、海馬はホルマリンに浸水したようでさ。

ごめんね。
その笑顔の意味とか、やっぱり考える朝焼けが来るんだ。

「書くお話、好きだよ、凄く」

たまに右耳が水の中なんだけど。
自分の過ちに後悔したひとつなんだよって、言えずにいる。

ピアノが上手だったな、本当に綺麗な音だったんだよなって、衝撃のあとの記憶しか思い出せないんだけど。
それはちゃんと覚えてるよ。

大人になっても「久しぶりだね!」って、変わった私と会ってくれる君に聞きたい。

あの時私はなんて声をかけたんだろう。
きっと今だって答えを探してみても。

「そんなの気にしないよ」

だと、思ってるんだ。

いつか私が灰になった時、君は思い出してくれるかなだなんて、ちょっと傲慢に考える。
ふらっと、曇った眩暈の朝に。

聞こえるかい?

言葉は捨ててしまうけれど、
嫌いになんてならない、いつでも優しい大好きな友人へ。
嫌いな自分の、海馬が喰われる後の話。

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