メクる

累計 17923086 スキ
BL・アダルトの
切り替えはこちら

虹の橋を渡るまで

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2018年10月14日 02:15 公開
1ページ(4131文字)
完結 | しおり数 0


柳乃奈緒

  • 閲覧数

    87

    2073位

  • 評価数

    14

    305位

  • マイリスト

    2

    179位

フォント
文字:--%
行間:--%
 

 今日の朝早く…
 家で飼っている猫のミーくんが、死んでしまった。


「しんぞうの病気だったのよ」

 少し目が赤くなったお母さんが、鼻声で教えてくれた。

「死んじゃったらミーくんはどうなるの?」

 まだ5歳のぼくには、死ぬということが
 どういうことかがよく分からなかった。

 …それでも。

 冷たくなって動かなくなってしまったミーくんを目の前にして…
 
 ぼくは悲しくて、いっぱい、いっぱい涙が出て止まらなかった。

だんだんぼくは…

悲しいよりも、死んでしまったら…
ミーくんが、どうなるのかが知りたくて…
ぼくは、お母さんに「ギュッ」って抱きついて聞いてみた。

「虹の橋の向こうからお迎えさんがくるのよ。だから、きっと大丈夫」

ぼくの頭を優しく撫でながら…お母さんは、教えてくれた。

でも、ミーくんはすっごく怖がりだったから…

虹の橋からお迎えさんが来ても…
怖がってついて行かないかもしれないし……。

それに…誰が、迎えに来るんだろう?

やっぱり猫だから…猫のお迎えが来るのかなぁ~?

ミーくんは、猫なのに猫見知りがひどかったから…
猫だと、もっと心配だよ……。

もしかしたら、ぼくのおばあちゃんかな?

でも……。おばあちゃんは猫アレルギーだったから猫は迎えに来ないよね。

**************

ぼくは、心配で…
その夜は、なかなか眠れなくて窓からお星さまにお願いをした。

「お星さまお願いです。ミーくんが、虹の橋を渡るまでぼくを一緒に行かせてください」

ぼくは、何度も何度もくりかえしてお願いをした。

きっと、今ごろミーくんはすごく怖がって…
どこかで泣いているんじゃないかと思うと…
ぼくは、悲しくなってきてぽろぽろと目から涙がこぼれてきた。



その時だった。



 目の前が、すごく明るくなって…
ぼくは、まぶしくて目を開けていられなくなった。

「あなたの願いをかなえてあげましょう。やさしい人間の男の子さん」

優しそうな女の人の声がしたので…ゆっくり目を開けて見たら
目の前には、きれいな白い羽の生えた女の人が立っていた。

「ぼくのお願いをかなえてくれるの? 本当に?」

ぼくが、聞いたら女の人は優しくうなずいていた。

「あなたが、思っている通り…ミーくんは、まだこのお家の中で怖がって前に進めないでいるんです」

女の人の横には、猫のお迎えさんがちょこんと座ってぼくを見ていた。
ぼくがニッコリ笑っておじぎをすると…
頭をかきながら、猫さんもおじぎをしていた。

「あいつったらにゃ~オイラの顔を見るにゃり、押し入れの中に逃げ込んでしまって出てこにゃいからオイラ困ってたんだにゃ~」

その猫さんが、ミーくんの生き別れたお兄さん猫さんだということを
ぼくは女の人に教えてもらった。

お兄さん猫は、生まれて半年で死んでしまって虹の橋の向こうの世界で
大きくなったんだとお兄さん猫は、ぼくに話してくれた。

すると、女の人がクスクス笑いながらぼくの耳元で言ったんだ。

「ミーくんが、何を言っても押し入れから出て来ないから…お兄さん猫は、私に助けて下さいってお願いしていたのよ」

それを聞いて、ぼくも少し笑ってしまった。

兄弟なのに…
お迎えに来て拒否られるなんて…
お兄さん猫もショックだったろうな…と少し気の毒に思えた。

「私は、もう帰らないといけません。お兄さん猫は一緒にいるので、一緒にミーくんを虹の橋まで連れて行ってあげて下さいね♪」

そして女の人は、ぼくのおでこにキスをしてから「すぅ~」っと消えてしまった。

********************

 そして、ぼくはミーくんの立てこもっている押し入れに向かった。

「ミーくん。聞こえる? ねぇ。ぼくだよ…ハルだよ…出ておいでよ」

ぼくは出来るだけ小さな声で、優しくいつものようにミーくんに話しかけた。

「…ハル? 本当に? …ハルにゃの?」

ミーくんの不安そうな声が、聞こえたのと同時に押入れの戸が少し開いた。

「本当だよ。ほら、出て来てよミーくん。ぼくが、虹の橋まで連れて行ってあげるから一緒に行こう」

ぼくは、そうっとミーくんに右手を差しのべた。

「こ、こ、怖いにゃ…ぼ、ぼ、ぼくは…どこにも行きたくにゃい。ハルといたいにゃ~!」

半分体を押入れから出して、ミーくんは泣きながらぼくに抱きついてきた。

「ぼくも一緒にいたいよ…お別れなんて本当はしたくない。でもね…お母さんが言ってたんだ。死んだらみんな虹の橋を渡ってみんながしあわせでいられる世界へ帰らなくちゃいけないんだって…。だから、ぼくが虹の橋まで一緒に行ってあげるから…泣かないでよ」

ぼくは、ミーくんの頭を優しくなでながら涙を必死にこらえた。

ぼくとミーくんを見ていて悲しくなったのか…
お兄さん猫は、横でおいおいと泣いていた。

「オイラは、お前の兄ちゃんにゃんだぜ。これからは、オイラがずっと一緒にゃ。ハルがこっちへ来るまで面倒見てやるからにゃ。怖がらにゃいでくれよにゃ…」

鼻をグスグス言わせながらお兄さん猫はミーくんに言った。

ミーくんは、それでもお兄さん猫は怖いらしくて…
ビクビクしながら押入れから出て来た。

「虹の橋ってどこにあるんだろう? 遠いの? 歩いて行くんだよね?」

ぼくが、お兄さん猫に聞くとお兄さん猫は少し笑って窓の外を指差していた。

「外を見てみろにゃ! 虹の橋はそこにあるにゃ!」

窓の外を見ると、そこには見たこともない大きくてすごく綺麗な虹が出ていた。

「すっごく大きな虹だ! あれを渡ればいいんだね。あそこまで、ぼくも一緒に行くよ」

ぼくとミーくんとお兄さん猫は、外へ出てその大きな虹に向かって歩いた。

でも、歩き始めると…他にもたくさん虹の橋を渡るために歩いてる人や猫や犬や鳥なんかもいる。

ミーくんは、こらえきれなくなったみたいで立ち止まってしまって怖がってしゃがみ込んでしまった。

「こ、こ、こ、怖いにゃ~…やっぱり無理にゃ~」
「頑張ろうよ! みんなミーくんと同じで虹の橋の向こうへ帰るんだよ! 誰もいじめたりしないよ」

ぼくは、怖がって泣いているミーくんの背中をなでながら優しく抱き起こした。

「ぼくもいつかミーくんと同じように虹の橋を渡らなくちゃいけないよね? その時はミーくんに迎えに来てもらいたいな…お兄さん猫と一緒で良いからさ♪」

涙をこらえてぼくは、ミーくんにお願いしていた。

「だからね。この道をしっかりおぼえておいてほしいんだ。ぼくのためにね」

ミーくんは、ぼくの顔を見上げて泣きながら笑った。

「わかったにゃん…ぼく頑張るにゃ。ハルのためにこの道を忘れにゃいようにしっかり歩くにゃ!」

そのあとは、立ち止まってしゃがみ込むことも無くミーくんはしっかり歩き出した。

「やっぱオイラの弟だにゃ! 誰かのためにゃら頑張れるんにゃ!」

お兄さん猫は、ミーくんとぼくを見ながら嬉しそうに笑っていた。
そして…虹の橋の入り口までたどり着いた。

「ハル! お前はここまでにゃ。ここでオイラたちとお別れだにゃ…」

少し、さみしそうにお兄さん猫は言った。

「そうなんだね。ここが虹の橋の入り口だね。ここからは、ぼくはもう行けないからミーくんをお願いします」

ぼくは、お兄さん猫に頭を下げてミーくんのことをお願いした。

でも、ミーくんはぼくに抱きついてなかなか離れてくれなかった。

「ミーくん泣かないで…少しの間なんだ。ずっとお別れするんじゃないからね。お母さんが言ってたもん。またいつか会えるんだってさ」

ぼくもそう言いながら、もう涙でミーくんの顔が良く見えなくなっていたけど…ミーくんの頭を優しくなでてやっていた。

すると、お兄さん猫がぼくとミーくんの手首に真っ白なきれいなリボンをむすんでくれた。

「これはにゃ、約束のしるしにゃ。これでハルがもしおじいさんににゃってから死んでも、ミーくんはハルを迎えに行けるんにゃ!」

お兄さん猫は、ミーくんにシッポを差しのべてシッポにつかまれと言っていた。

「ハル…ありがとうにゃ…本当にいっぱい…いっぱいありがとうにゃ」

ミーくんは、ぼくにギュ~っと抱きついて泣きながら言った。

「ぼくも…ぼくもいっぱい…いっぱいありがとう…絶対…また、いつか会おうね」

そう言ってぼくは、いっぱいご飯とおやつの入った大きなカバンをミーくんに渡した。

「大きな虹の橋だから、きっと途中でお腹が空いちゃうから…お腹が空くとミーくんは、すぐ泣いちゃうからね」

目からこぼれてくる涙を拭きながらぼくはミーくんのために笑顔を見せた。

「また、いつか会える日まで…さよならだね」

最後は、みんな一緒に笑ってお別れをした。

そして、気が付くと虹の橋は無くなっていて…ぼくは、ぼくの部屋へ帰っていた。

「夢…だったのかな?」

ぼくは、その時はもしかしたらあれは夢だったのかもしれないと思っていた。


*******


 そして…あれから何十年も月日が流れて…私は、すっかりおじいさんになってしまった。

ここは、病院のベッドで…どうやら私は、もうすぐ死んでしまうみたいだった。

私は、眠くて眠くて仕方なくなってしまって…目を閉じて少し眠ってしまった。

そして、目をさますと…そこには、ミーくんとお兄さん猫がいた。

「やっぱりあれは夢じゃなかったんだね」

そう言って…私は、手首のリボンを見た。

「そうにゃ! あれは夢にゃんかじゃにゃい…ぼくは、ずっとハルを待っていたんだにゃ~!」

ミーくんは、そう言って自分の手首のリボンを私に見せてくれた。

「さぁ! 行くにゃ! ハル。虹の橋を渡るにゃん。今度は、ぼくと兄さんと一緒ににゃ♪」

そして…私は、ミーくんたちと虹の橋を渡ってまた向こうの世界で幸せに暮らしたんだ。

                【完】

スキを送る

累計 40 / 今日 0


残スキ 300

『スキ機能』とは?
『スキ機能』とは『スキ』ボタンを押すことで作品や作者を応援できる機能です。
※拍手機能に類似した機能です。

[スキ機能のルール]
※1人あたり1日に300回まで『スキ』を送ることができます。
※1作品でも複数作品でも合計が300回まで『スキ』を送ることができます。
※『スキ』は1スキ、『大スキ』は10スキ、加算されます。
※1日に与えられるスキの数は毎朝4時にリセットされます。
※自分の作品にはスキ機能は利用できません。
※『スキ』は匿名で作品に送られます。

スキ!を送りました

作品を評価する

柳乃奈緒さんを

フォローしたユーザーの
作品投稿やつぶやきなどの最新情報を
マイページでチェックできます

マイリストに登録する

この作品につぶやく

#虹の橋を渡るまで
 

500

みんなのつぶやき 一覧

イメージレスポンス(0) 一覧

この作品へのイメージレスポンスはありません

タグ一覧 編集

この作品にタグはありません

友達に教える

  • ツイートする
  • イイネ
  • なうで紹介
  • はてなブックマーク
  • GoogleOne

この作品を見た人はこんな作品も 一覧

作者の投稿小説(13) 一覧

作品登録マイリスト 一覧

お気に入り (47)

その他


コーナー R

作品宛みんなのつぶやき

もっと見る

作者の他の作品一覧

一覧を見る

copyright (c) 2013-2018 メクる Co.,Ltd. All rights reserved.