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ぼくと猫の冒険

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2018年11月02日 15:08 公開
1ページ(4456文字)
完結 | しおり数 0


柳乃奈緒

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むかしむかし____ 

ぼくが小さかった頃の話なんだけど…

ぼくの家には、1匹の猫がいた。

真っ黒な猫だった。ふつうの猫ではなかった。

ぼくと同じ言葉を話せる不思議な猫だったんだ。

猫は、夜になるとぼくの部屋へ来た。

そして、ぼくにいろんな話を聞かせてくれたんだ。


ある日の夜だった。

ぼくが、幼稚園でいじめっ子にいじめられたと

猫に言って泣いていたら、

猫は、ぼくに冒険に行かないか?と誘ってきたんだ。

「どんな冒険に行くの?」

「行ってみてのお楽しみだ! ニャハハ♪」

ぼくが少し不安そうに聞くと…少し意地の悪い顔をして

猫は長い真っ直ぐなしっぽをパタパタさせて笑っていた。



次の日の夜___

ぼくは、猫と冒険に行くことにした。

遠足で使うリュックサックにおやつを詰められるだけ入れておいた。

そして、約束の時間が来たから

猫と一緒にぼくは…ぼくの知らない世界へ冒険に出た。

「お母さん…心配しないかな? 帰ってきたら、ぼく…おこられちゃう?」

ぼくが心配になって猫に聞くと…また猫はニャハニャハと笑っている。

「大丈夫だよ! 怒られたりしないさ! ニャハニャハ♪」

猫の話では、出発した時間に帰ってくるから絶対に怒られたりしないらしい。

(本当にそんなこと出来るのかなぁ?)

猫の話を聞いて…ぼくは、すぐには信じられなかった。

同じ日にちと時間に戻ってくるなんて…

そんなことって本当に出来るんだろうか?

臆病なぼくは、勝手にあれこれ考えていたんだけど…

猫に言われて開けた扉の向こうの世界を目にした瞬間…

ぼくは、猫の言ったことを少しだけ信じる気になった。


だって、扉の向こうは全くぼくの知らない世界だったから___


扉の向こうでは、猫も犬も2本の足で立って歩いているし___

服も着ていて大人の猫や犬は人間みたいに仕事をしていた。

ぼくの世界との違いは___

そこには、たくさんたくさん緑があって

空はすっごく広くて青くて空気もすっごくきれいだった。

自動車も飛行機も電車も無い世界だった。

あると言えば…馬車くらいかな?

馬は普通にぼくの世界の馬と同じだった。

ここはきっと猫と犬の世界なんだ。

ぼくの住んでいる世界の猫と犬も___

本当はしゃべったり、立って歩くのかも。

人間の前では、何もわからないふりをしているだけで

人間よりもずっと賢いのかもしれないと…この世界を見てぼくは思った。

「こんな世界があるのに…どうしてぼくたちの世界にいるの?」
「そんなの、冒険に決まってるじゃないか!」

ぼくが猫に聞くと…猫は、胸を張ってヒゲをぴんと伸ばしていた。

「ぼくはこれからここでどんな冒険をするの?」

「お前はオイラと一緒に犬の大親分とその子分をやっつけるのさ」

それを聞いてぼくの胸はドキドキしていた。

怖い気持ちや、わくわくする気持ちが…

胸をドキドキ言わせて頬が熱くなってきた。

「ぼくたちでやっつけるの? そんなの無理じゃない?」

少しふるえながら、ぼくが聞いたら猫はフフンと笑っていた。

「みんな作戦会議に集まっているころさ!」

やっぱりぼくたちだけじゃないらしい。

これは、きっと猫と犬の戦争なんだ。

「ぼくたちは戦争をするの?」
「おいおい! そんなやばんなことは、オイラたちはしないんだ」

ぼくが真剣に聞くと猫はケラケラと笑ってぼくのお尻をシッポでたたいた。

「ちょっとこらしめてやるだけさ! 戦争じゃない」

猫の話では、殺しあったりするわけじゃないみたいだったので
ぼくは、少しわくわくした気持ちになってきた。

大きな森をぬけてまっすぐ歩いて行くと、そこに大きなお屋敷があった。

そして、見張りの猫が入口の扉を開けて出迎えてくれていた。

中に案内されると、広間のような所があって

そこには、本当にたくさんの猫が集まっていた。

「みんな待っていたんだよ! よく来てくれたね」

長いアゴヒゲの生えた仙人のような大きな白猫に手をギュッと握られた。

ぼくが来ることをみんな知っていたようだった。

「お前らー! 準備は出来たかー!」


「おおおおおーーーーー!!」


猫が大きな声を上げてみんなに聞くと…

そこにいる猫たちみんなが立ち上がって叫んでいた。

(猫なのに、ニャーーーー!! じゃないんだね(笑))

猫たちの掛け声を聞いて、心の中でぼくは少し笑った。

それと…

ぼくはどうして犬の大親分をこらしめるのかが気になって__ 

猫に事情を聞くと、猫は頭をかきながらぼくに手紙を見せてくれた。


「あいつらワン公の中でも、ほとほと困ったやつらでさ!」


その手紙は、犬の長老の娘からの手紙だった。

______毎日、毎日、大親分たちに村の犬たちが
______いじめられて困っています。
______猫さん私たちを助けて下さい。お願いします。

…犬が猫さんに助けをお願いするなんて変な話だ。

でも、ぼくも男だからね。
その手紙を読んで、メラメラと何か熱いものが込み上げてきた。

「村の犬さんたちを、ぼくたちで助けてあげよう!」

ぼくも右手を高く上げて、猫さんたちと一緒に声を上げていた。

武器はけむり玉とこしょうで作ったダンゴにバクチク___

そして猫さんたちは、しっかりマスクと耳せんを持っている。

からしたっぷりのシュークリームにとうがらしの粉で作った目くらまし…

これは大親分に投げつけてやるんだと猫が笑った。

ぼくは興奮しすぎちゃってトイレに行きたくなった。

仕方なく草むらでトイレをすませてから、どんどん先へ進んでいくと

カンバンがあって『犬の村』って書いてあった。

村へ一歩入ると、やせ細った犬がフラフラとそばまで来た。

「大親分は長老の家にいます。助けてください」

すごく小さな声でぼくたちに助けを求めるとその場にたおれてしまった。

何日も飲まず食わずで働かされてやせ細ってしまったみたいだった。

「犬の大親分ってほんとにひどいことするんだね!」

ぼくはやせ細った犬を見てすごく腹が立ってきた。

猫は、うんうんとぼくを見て嬉しそうにうなずいていた。

「お前も少しは、男の顔になってきたじゃないか!」

ぼくに向かって笑いながらそう叫ぶと…

猫はまた、シッポでぼくのお尻をたたいた。



外が暗くなるのを待って、ぼくたちは作戦をたてた。

「負けるわけには、いかないからな!」

そう言って…

猫は、今度は真剣な顔をしていた。

まず見張りをロープでしばり上げて中へ入るAチーム

家のまわりにいる子分たちをやっつけるBチーム

逃げ道をふさぐ役目がCチーム

Aチームから少しはなれて中へ入るのがDチーム

という感じで4つのチームに別れることになった。

ぼくと猫はもちろんAチームだった。

「ほんとわくわくしてきちゃったよ!」

ぼくが興奮して声を上げると…

そんなぼくを見て、猫が嬉しそうにしっぽをパタパタさせていた。

「よ~し! 行くぞ! 走れ~!」

猫が号令をかけると、それぞれが走りだした。

ぼくも猫について走りながら、子分の犬たちに…

けむり玉と目くらましを投げつけてやった。

 “パンパン!”

バクチクもどこかで鳴っていた。

子分たちは、おどろいて逃げ回っていた。

いくつかのふすまを開けて進んで行くと…そこに大親分がいた。

長老とその娘もロープでしばられてつかまっていた。

ぼくたちはいっせいにバクチクや目くらましやけむり玉を

大親分に向かって投げつけてやった。

ぼくが投げたからし入りのシュークリームが

ちょうど鼻に当たって大親分は悲鳴を上げていた。

「なんなんだこれは! 鼻が鼻が痛い! イタタタ!」
「イタタタ! 痛い! やめろ! やめてくれ~」

大親分がのたうち回っている間に…

ぼくたちは、長老と娘さんを助けてあげてみんなで大親分を押さえ込んだ。

そして逃げられないようにキツくロープでしばって捕まえた。

外へ出て見ると子分たちもみんなロープでぐるぐる巻にされていた。

大親分に無理やり働かされていた犬たちも開放して犬の村に平和が戻った。

猫さんたちはたくさんお礼のまたたび酒をもらって猫の村へ帰って来た。

「またたび酒が猫さんたちの目的だったんだね」

たくさんのまたたび酒を見てぼくが笑うと

猫さんたちは嬉しそうにまたたび酒を飲みながらうなずいていた。

「オイラの村で採れるまたたびより良いやつなんだ!」

美味しそうにまたたび酒を飲みながら猫は答えた。

「どうだった? 冒険は楽しかったか?」

「うんうん! すっごく楽しかった!」

「ちょっとは、お前も男になれたかもな!」

猫に聞かれてぼくが楽しかったと答えると

猫はまた、シッポでぼくのお尻をたたいた。

「人間の世界もこんな風だったら良かったのに」

ぼくは猫たちを見てしみじみ思った。

「仕方ないね。お前がいるあそこがお前の世界だからな!」

猫はとんとんとぼくの背中をたたいてなぐさめてくれているようだった。


「そろそろ帰る時間だぜ!」

猫が立ち上がってぼくに言った。

ぼくは猫の村の長老や他の仲間たちにもお礼を言って

来た道を進んで扉を開けてもとの世界へ戻った。

部屋は真っ暗で時計を見ると猫が最初に約束した通り

日付も時間も来た時と同じだった。

「楽しかったね。また冒険に連れて行ってね!」

僕がそう言って猫を見ると…猫はシッポをパタパタさせていた。

そして、すごく気まずそうに背中を向けてぼくに言った。

「…お前とは、これでお別れなんだ」

「どうして? どうしてお別れなの?」

ぼくはすごくビックリしていた。

その後…すぐにぼくの目からは涙がこぼれていた。

すごく悲しい気持ちがこみ上げてきて…涙が止まらなかった。

「オイラの冒険もこれで終わりなのさ…オイラもオイラの世界へ帰るのさ!」

猫も少し声がふるえていた。

「お前も男になったんだ。オイラがいなくても大丈夫だ!」

猫はシッポでぼくの背中をポンっとたたいて笑った。

「オイラ…お前のこと忘れないよ! だからお前も忘れるなよ!」

猫は1度ぼくにギュっと抱きついてから…

手を振って扉の向こうの猫の村へ帰って行ってしまった。

ぼくは悲しかったけど男だから…

こぼれる涙をふいて笑顔で猫を見送ったんだ。


それからのぼくは…少しだけ強くなった。

友達と協力してあの暴れん坊をこらしめてやったんだ。

あの…ほんの少しだよ…ほんの少し(笑)

                    【完】


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