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秋桜(1ページ同好会)

短編小説
その他
オリジナル
2018年11月02日 22:04 公開
1ページ(999文字)
完結 | しおり数 0


雪乃都鳥

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秋桜。
私と女房は、家の庭にその種を植えた。
「綺麗に咲くでしょうか?」
女房は静かな笑みを浮かべて、少し悲しい顔をした。
「綺麗に咲くだろう」
「そんなこと言ったって、もしかしたら咲かないかも知れません」
「咲くだろう」
私は、その花に手を合わせて咲くように念じた。
「コスモス、早くお会いできたら……」
そして女房も、手を合わせた。


なんだっていきなりコスモスを植えたのか。
女房はいきなり、コスモスを植えたがった。
コスモスなんて植えてどうするのか、聞いたら、「なんの為にって、知りません」そんなことを言うもんだ。
だが、日頃寡黙な女房の頼みだった。
「まあ、いいだろう」
私は、女房とコスモスの種とスコップ、じょうろを買ってきて、それから土を用意した。
「なんでコスモスなんか植えるのさ」
「コスモスがいいんですよ。コスモスが」
女房のその頑固さと言ったらいままで、見たことがなかった。
「まあ、咲くといいだろうな」
「ええ、咲くといいのですが……」


翌日、庭を見てみると女房がしきりにコスモスに手を合わせてぶつぶつと何かを言っている。
「どうしたってんだい、おまえさんは」
背中に問いかけるも、女房は返事をしない。それほど念じる心が強かったのかもしれない。

それから、女房はその花を咲くまで朝昼晩休むことなく念じていた。寝食も下手したら忘れてしまうのではないかと気が気じゃない。それに、私の飯を作ってくれる者が居ない。

「お前さん、ご飯食べなさい」

いくら呼びかけてもやはり返事がない。

私は、もはや諦めて縁側に近所の婦人がおすそ分けに持ってきた煮物を縁側に置いて、私は昼寝に勤めることに決めた。

しかしその件のことがあって、気になって気になって仕方がない。

そのうち、朝昼晩気になって、気になって、眠ることもできなくなった。


とうとう冬に差し掛かろうとしていた。
私はいてもたっても居られずに布団から飛び出した。私は、恐る恐る庭に出てみると、顔が青ざめるのがわかった。
妻が、妻が妻が妻が、倒れているのだ。いや、それ以上に私の肝を震え上がらせたのはそのコスモスだった。
コスモスは、茶色くなって、しなり、折れていた。引っこ抜かれていたのだ。

「お前……あれだけ咲くか咲かぬか心配していたのに……」

私は、膝をついて、ただ途方に暮れた。

秋桜、ああ秋桜や。

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