雨女とずぶ猫 / 「あまね」の小説 | メクる

メクる

累計 17465521 スキ
BL・アダルトの
切り替えはこちら

雨女とずぶ猫

短編小説
ライトノベル
オリジナル
2015年06月01日 12:30 公開
1ページ(1917文字)
完結 | しおり数 0

雨女とよばれる女の子の話。

あまね

  • 閲覧数

    368

    878位

  • 評価数

    0

    1209位

  • マイリスト

    0

    840位

フォント
文字:--%
行間:--%
 
 雨女という言葉ほど、私にとってキライな言葉はない。

 うっとうしい程について回るこの言葉、お前ら天気の勉強をしたことがないのかと、一言でバッサリと切り捨てたいほどに、うんざりするほどに、言われ続けてきた。

 確かに、雨が降ったことはある、イベント当日に降った事はある。

 小学校の入学式は雨だった。
 小学校初めての運動会、学芸会、遠足の日に、雨は降った。
 小学校2回目、3回目、4回目も5回目も、雨であった。
 小学校最後のイベントの卒業式まで、いい加減にしろよと思うほどに雨だった。

 誕生日は梅雨時のせいか、いつも雨だ。
 生まれた時も、豪雨だったらしい。
 
 たかが、それだけである。
 普段の学校の時だって、晴れてる日もあれば、雨の日もある。 

 それだけで、雨女と決め付け、さも私の所為というのは、やめてほしい。
 本当に迷惑だ。

 私とは関係なく、平日の夕方に土砂振りになった。

 傘もなく、迎えも頼めない私、ぬれるのが嫌ではあるが、帰るのが遅れて、楽しみにしていたアニメを見逃すのも、もっと嫌である。
 しかも、肝心の時に予約録画をしていないという、弱り目に祟り目とでもいうのだろうか、そのようなチョンボをしてしまっていた、私は次第に強くなる豪雨の中、家へと走った。
 
 学校帰りのいつもの道路に朝方はなかった、ダンボールが道端に置かれていた。

 拾ってくださいと、書かれていたであろう、部分もこの雨で紙がボロボロでほぼ読めない。
 そして、ダンボールのふちに足をかけて、白い子猫がこちらを見てきたが、せめて心優しい人に拾われる事を祈る。

 そう、思い猫の視線を無視するように横を通過しようとする。

 白い猫がニャーとなくと、罪悪感が少しでるが、家で飼ってあげようにも、猫とか犬とか小動物を飼った事のない人間が、無責任にかわいそうだからと、拾って飼って、そして捨ててしまう、安易で、残酷な未来よりは、野良としてたくましく生きた方が、幸せであろう。

 ニャー、ニャーと再度鳴きながら、こちらへと向かい歩きはじめた。
 しつこいし、どうしようもないと思えば、思うほど追い討ちをかけるように、雨が一層激しくふり、このまま猫にかまっていると、こちらがぬれるばかりか、ぬれている服の重さと、私の体力のなさの影響で、アニメを見逃してしまう。

 猫を振り切るように、走るが、猫もまた懸命にこちらを追ってくる。
 家へとたどり着き大急ぎでドアを開けると、猫も呼吸を荒げながら、ドアへと滑り込んだ。

 猫が喋ったように聞こえたが、とりあえず廊下をべちゃべちゃと水分を含んだ、靴下であがり急ぎ、アニメの録画をする。
 一息ついたところで、脱衣所へと向かい、ぬれた制服等をぬぎ、シャワーを浴び、着替えをすませると、猫は玄関にじっと座っていた。

 クビ根っこをつかみ、外へと放りだすために猫に近付くと、猫が喋った。

「雨女様、私を助けて欲しいのです」

 猫が喋ったと同時に、小さなずぶぬれの女の子へと姿を変えた。

「知ってのとおり、私どもずぶ猫一族は顔を洗う事で、主人の妬みやうらみ、悲しみを雨雲に変えて雨を呼んで、主人を助けていましたが、最近うまくいかないのです、そして捨てられました」

 知らない情報ばかりで、展開についていけない私を無視するかのように、話がすすんでいる。
 そして捨てられたのは、多分不気味だからとか、変えなくなったとか、飽きたとかいうそういう感情だと思う。

 「そこで、雨女様のお力を借して欲しいのです」
 
 執拗にしがみついてきて、折角着替えたのに、更にずぶぬれになってしまう。

「私は雨女じゃないから」
「そんな今までもご自身の苛立ち、嫉妬、憎しみ、悲しみ、憎悪を暗雲と化して、雨を降らせているじゃありませんか」

 確かに、両親が私の晴れ舞台にこなかったり、他の子は手作り弁当なのに、私だけコンビニ弁当だったりしたときもあるけど、私はそんなに暗黒的なものじゃないし、その覚えもない。

 思い出せば出すほど、両親の無関心さに腹がたち、偶然にも雨が強くなっているような気はしてくる。

 ただ、それは偶然にすぎないのだから、しがみつかれても本当に困るだけである。


「その力で、ご主人の悲しみを晴れやかにして欲しいんです」
「雨ふらしたいのか晴らしたいのかどっちかにしてよ」 
 
 苛立ちとどうしたら良いのか分からなくなり、泣きたい気分になってくると同時に、外の豪雨がより一層激しくなり始めたが偶然である。
 
 何せ私は雨女じゃないのだから。



  

スキを送る

累計 0 / 今日 0


残スキ 300

『スキ機能』とは?
『スキ機能』とは『スキ』ボタンを押すことで作品や作者を応援できる機能です。
※拍手機能に類似した機能です。

[スキ機能のルール]
※1人あたり1日に300回まで『スキ』を送ることができます。
※1作品でも複数作品でも合計が300回まで『スキ』を送ることができます。
※『スキ』は1スキ、『大スキ』は10スキ、加算されます。
※1日に与えられるスキの数は毎朝4時にリセットされます。
※自分の作品にはスキ機能は利用できません。
※『スキ』は匿名で作品に送られます。

スキ!を送りました

作品を評価する

あまねさんを

フォローしたユーザーの
作品投稿やつぶやきなどの最新情報を
マイページでチェックできます

マイリストに登録する

この作品につぶやく

#雨女とずぶ猫
 

500

みんなのつぶやき 一覧

イメージレスポンス(0) 一覧

この作品へのイメージレスポンスはありません

参加テーマ

タグ一覧 編集

この作品にタグはありません

友達に教える

  • ツイートする
  • イイネ
  • なうで紹介
  • はてなブックマーク
  • GoogleOne

この作品を見た人はこんな作品も 一覧

作者の投稿小説(23) 一覧

作品登録マイリスト 一覧

登録された公開マイリストはありません

その他


コーナー R

作品宛みんなのつぶやき

もっと見る

作者の他の作品一覧

一覧を見る

copyright (c) 2013-2018 メクる Co.,Ltd. All rights reserved.