優しいキスをして / 「もも」の小説 | メクる

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優しいキスをして

短編小説
恋愛
オリジナル
2015年07月22日 09:52 公開
1ページ(981文字)
完結 | しおり数 0


もも

表紙提供:by コマコ
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足を進める度にさくさくと雪を踏み分ける音がする。先に歩く彼女が残す足跡を追い掛けて、走ると転ぶよ、と声を掛けた。
振り返った彼女は冷たい外気のせいで赤くなっている頬をぷぅと膨らませて、早く来てよ、と言った。
立ち止まっている彼女にのんびりとした足取りで近寄ると、ん、と手を差し出された。
何?と言うと、寒い、と返される。
暖めろという事か。彼は仕方ないなと言うかの様に微笑むと、はいはい、と言ってその手を握った。

「冷たいなあ」

「だって寒いから」

「だから手袋して来いって言ったろ。マフラーもしてないし」

「コートは着てきたわ」

「それだけで寒さを凌げるって思ったお前の頭に感服するよ」

はあ、と溜息を吐くと、何よ、と彼女に睨まれた。その鼻の頭が真っ赤で、彼は呆れながらも笑っていた。
繋いでいた手を離して、自分のマフラーを外し、彼女の寒そうな首にそれを巻いた。
きょとんとしている彼女に、あげる、と言って笑う。

「えー…汗臭い」

「じゃあ返せ」

「嫌よ」

外したら寒いわ、とマフラーに顔を埋めてくすくすと笑った彼女を可愛いと思ってしまったのはおかしいだろうか。
何となく気恥ずかしくなって目を逸らした彼を彼女はじっと見つめて、ねえ、と言った。

「いつ行くの?」

「…明後日」

「アメリカ?」

「イギリスって言ったろ」

「そうだっけ?イギリスかあ…遠いね」

ぽつりと呟いて彼女は目を伏せた。
彼も目を伏せて、うん、と言った。

「会いに行けないね」

「会いに来るつもりだったの?」

「迷惑だった?」

「そうじゃないけど」

結構距離あるよ、と苦笑いする。
いいんじゃない?と彼女は笑った。

「距離なんかどうでもいいよ。会いたい時に会いに行くの」

自信たっぷりに笑う彼女に彼は、そう、と言ってつられて笑んだ。
笑っていた彼女が不意に笑顔を消して目を伏せると、ねえ、と言った。

「最後に我儘聞いてよ」

「いつも我儘な気がするけど?」

「うるさい。ねえ、聞いてよ」

「何?」

キスして。

思っていたよりも些細な我儘だった事に彼は驚いて目を瞬かせ、それから微笑んだ。
目を伏せている彼女の頬に触れて、顔を近付ける。
そうして触れた唇はやっぱり冷たかった。




優しいキスをしようか。








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