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ひとつめ

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2015年08月18日 10:19 公開
1ページ(2968文字)
完結 | しおり数 0



おねこ。

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 “ある退屈な街に、一人のピエロがやってきました。”

普通、ピエロはお化粧で顔を白く塗っているだけなのですが……

そのピエロは不思議な事に、目を隠せるマスクをつけていただけでした。

「さぁ!
 みんな寄っといで、ピエロが手品をするよ♪
 良い子は、真似しないで!
 でも、悪い子は真似していいよ♪」

ピエロが、甲高い声でそう言うと、子供達は、おおはしゃぎ。

最初は警戒していた大人達も、ピエロが

「この手品を見たら、悪い子は、とてもいい子に、いい子は、もっと良い子になるよ!」

と言うと、みんな近くに来て、ピエロの手品を見に、集まってきました。
ピエロは、風船をひゅ~と膨らませると、それは、大きな大きな犬の形になりました。

子供たちドキドキ。
大人たちワクワク。

ピエロは、一本のマッチを取り出して、その風船に火を付けました。

すると、子供達から大ブーイング

するとピエロは、口もとに手を当て、【静かに】と、アピールしました。

子供達が静かになると、今度、犬の形をした風船が、パン!と割れて、今度は、ホットドックになりました。

「さぁ……
 今度は、魔法のホットドック屋さんだよ」

と、ピエロがやると、一人また一人と、ホットドックを買ってくれました。

ピエロは、誰かがホットドックを買う度に同じ手品をやるので、子供達は、大喜びです。

 “退屈な街にピエロが、やって来た。”

そんな噂が、街に広がりました。

ピエロは顔を隠している為、「美形だ」なんて、話が広まってしまったので、町の若い娘には、壮絶な人気があったそうです。

ですが、ただ一人……
ただ一人だけ、ピエロを見ても笑わない女の子が居ました。

顔は包帯を巻いて居るのでわかりませんが……
スカートを履いて居るので女の子とわかりました。

ピエロは、皆が帰った後、その女の子に聞いてみました。

「僕の手品、面白くないかい?」

と尋ねると、綺麗な声で女の子は、答えてくれました。

「どうして?」

「そりゃ……
 だって、君はいつも笑ってないからさ……」

と、ピエロが言うと女の子は寂しそうな声で答えました。

「だって、私、目が見えないから……」

ピエロは悩みました。
どうすれば、この子は笑うのだろう……

ピエロが、喋らなくなると、女の子はピエロの手を握って今にも泣きそうな声で、ピエロに言いました。




「お願い、黙らないで……
 私、目が見えないから貴方がどんな表情をしているかわからない!」

ピエロは、一呼吸して言いました。

「大丈夫だよ。
 僕は仮面を着けているから誰も、僕の表情は解らないよ」

ピエロがそう言うと、女の子は、クスリと笑いました。

ピエロは思いました。

『この子には、笑い続けて欲しいな。』

と……

ピエロは町で、一番の人気者になっても、その女の子に、ショーが終わる度に話しかけて行きました。

あまりにもピエロが、女の子に話しかけるので、他の町娘達は、少し焼き餅を焼いていました。

マスクを付けたピエロと顔に包帯を巻いた女の子の組み合わせは、奇妙ながらも町の噂になってしまいました。

ある日、いつもの様に、二人で話して居ると、大きな体の男が三人近寄って来ました。

「素顔を見せろ!バケモノ達!」

と、男達は酔っているのかおぼつかない足取りで……
女の子につかみ掛かって勢いよく女の子の包帯をほどくと、それを見た男達の酔いは一気に冷めました

何故なら、女の子の顔は、この世のものとは思えないほど、美しく……
とても綺麗でした。

それを見た、嫉妬していた街娘達も、おじさんもおばさんも、子供も犬もネコも、ピエロでさえ、息を飲むのも忘れて見とれてしまいました。

男達達は、正気に戻ると今度は、ピエロの仮面を外そうとしました。

「やめろ!やめてくれ……!」

と、抵抗しましたが、ピエロは力では勝てませんでした。

男が、ピエロの仮面を外すと、誰もがピエロに注目しました。

一瞬、時が止まったかの様に、街は静かになりました。

最初に、悲鳴をあげたのは、街娘でした。

大男達は、ピエロを突き飛ばすと、口々に叫びました。

『バケモノ!』と……

ピエロの顔は、口は、皆と同じ場所に同じ形でありました……
しかし、その上は、大きな目が一つ。
そして、その上に鼻の穴のようなモノがあるだけでした。

皆、ピエロから距離を取りました。
子供達は、ピエロの姿を見て泣き、大人達は、ピエロに石をぶつけました。

ピエロは、言いました。

「皆さん、あんなに仲良くしてくれたじゃないですか……!
 僕の目が一つだからいけないんですか……?」

ピエロは涙を流しながら訴えました。
しかし、町の人は、『帰れ!』『消えろ!』の一点張りでした。





ピエロが、がっくりと肩を下ろすと、町をでました。

ピエロは、街から離れて、振り替えると……

「ありがとうございました」

と、お礼を言いました。
ピエロは、今までも似た経験を何度もしている為、慣れていました。

だから、ピエロは、『いままで、ありがとう』
と言う意味を込めてお礼をいいました。

ピエロが、街の反対側を向いて歩こうとした時、誰かが、ピエロの手を優しく、そして力強く握りました。

「ピエロさん……?」

ピエロは、振り替えるとそこには、あの女の子が、包帯とピエロの仮面を持って、ピエロの手を握っていました。

「私を置いて行かないでください……」

女の子は、ピエロに泣きながら訴えました。
だけど、ピエロは何も言えませんでした。

「黙らないでください!」

女の子は、そう言うとピエロの手をギュッと握り締めました。

ピエロの胸が、ズキズキと痛みます。

自分の目がどうして、二つないのだろう……
どうして、自分の目は一つしかないのだろう……
その日だけは、呪いました。

「僕は町の人が言うように、目が一つしかないから……
 人間じゃないらしいから……
 一緒には慣れないよ……」

と、今にも泣きそうな声でピエロは言いました。

しかし、女の子は言いました。

「知ってます。
 見えてます……
 黙っていてごめんなさい……
 私の目、少し前に治っていました……
 言ってしまったら、ピエロさんは、私の相手なんてしてくれなくなると思って…… 
 だまっていてごめんなさい……
 だから、私の前からいなくならないで……
 私もつれていって……」

と、ピエロに頼みました。

ピエロは言いました。

「見えているなら、解るでしょ?
 僕は、気味悪くて怖がられる事には慣れているから……」

「私、怖くなんてありません!
 だって、私、目が見えませんから……」

と言ってピエロを抱き締めました。

ピエロは、『嘘つき』と言いながら、嬉しくて涙を流しました。

二人は、その後、一緒に旅を続ける事になりました。

そして、国中でこんな噂が広がりました。

かわいらしい姿をした、目が一つしかないモノが、手品で人々の心を癒してくれると……

その、モノの名前は……
『ひとつめ』と言われていた。


おしまい

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