絵本版「青年とホシとネコ」 / 「YUTADOT」の小説 | メクる

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絵本版「青年とホシとネコ」

短編小説
童話・絵本
オリジナル
2015年08月21日 17:45 公開
1ページ(3012文字)
完結 | しおり数 0


YUTADOT

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別に書いていた作品の大元の話、というつもりで書いたものです。
絵本だったらこうかなぁ、と。
不思議なホシに住んでいる青年とネコとのお話です。
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✳︎✳︎


とあるところに、とあるふしぎなホシがありました。

そこには、とある青年と、小さなネコが住んでいました。

そこは走れば一日で一周できるほどの小さなホシで、
彼らは気づいたときからそこに住んでいました。



そこにはたかい塔が建っていて、中にはらせん状の廊下があり、
そのりょうがわには数えきれないほどの部屋がありました。
中にはたまに食料があったり、服や本や映像ディスクがあったり、
からっぽだったりするのです。

青年は、なんどか部屋の数を数えようとしたのですが、何日歩いても
走ってもいっこうに先が見えないので、けっきょくまだ
数えきれていません。

なので、ふだんはその中のひとつを使ってくらしています。


✳︎✳︎


青年はものを作るのが好きでした。
ネコのねどこだったり、絵だったり、彫りものだったり。

あと、青年は体を動かすのが好きでした。
飛んだり跳ねたり、かけっこしたり。

ホシを走ってどれだけ早く一周できるか、ためしたことも何度か
あるのです。



いっしょにいるネコはアメリカンショートヘア。
このホシで青年にひろわれ、以来なついています。

と言ってもネコなので常にベッタリというわけではありませんが。


とまあそんな感じで、時にケンカしたりなかなおりしたりしながら、
二人はくらしていました。


✳︎✳︎


ところで、このホシには、ときどきいんせきが落ちて来ます。

くうちゅうでもえつきる、キレイなながれ星のときもありますが、
たまに地面まで落ちてくることもあります。


青年はそれらを時によけたり、パンチでくだこうとして大ケガを
おってみたり、
せっかく作った彫刻をこわされてがっかりしたりしながら、
それでもめげずにくらしているのです。

✳︎✳︎

ところでもう一つ、このホシにはふしぎなことがありました。

二人がくらしている塔はふだんはとある平原に建っているのですが、
ひとばんねて起きると、たまに崖の上に建っていたりするのです。

ある時は砂漠のどまん中。
またある時は真っ白な雪山の中。
ふかい海の底だったり、たかい雲の上だったこともあります。


その時々でたいへんはたいへんなのですが、
もう二人にはなれっこなのでした。


✳︎✳︎


ある寒い日、二人は遠くに落ちるいんせきを見ました。

いそいで行ってみると、じめんにあいた穴のそばに
一人の女の子がたおれていました。


二人とも、今までそんなことは無かったのでびっくりです。

でも青年は、女の子のことは本や映像ディスクで見たことが
あるので、思い切って声をかけました。

「こんにちは」

女の子は答えました。「こんにちは。ここはどこ?」

青年は答えます。「う〜ん、ぼくのホシ・・かな」

「そうなんだ・・パパとママは?」

「えっと・・今はいない、かな」

「いや、あたしの」

「あ、そっか・・・やっぱいない、かな」

「そうなんだ」


✳︎✳︎


その後なんにちかのあいだ、青年と少女はホシで遊びました。

雪山で雪合戦したり、山林で虫を取ったり、
海辺で泳いだり、キャンプしたり。



そんなことは初めてで、青年はとても楽しかったのです。


✳︎✳︎


ところが少ししたある日、青年と女の子が遊んでいると、
突然女の子の体が光りはじめました。

青年はおどろきましたが、どうすることも出来ません。

女の子もふしぎそうな顔をしていましたが、
女の子の体は、そのまま消えてしまったのです。

辺りを探しましたが、女の子のすがたは見えません。
ホシじゅうを走り回っても、何処にもいませんでした。

あまりに突然のことだったので、青年はさよならも言えません
でした。


✳︎✳︎


青年は少し変なきぶんでした。

今まではネコと二人、普通に楽しくくらしていたのに、
とたんに寂しい気がしてきたのです。



そんな青年を見て、ネコは少し心配でした。

側によりそって、指をなめてあげます。

「(ボクがいるよ)」


✳︎✳︎


なんにちか落ちこんでから、青年はすこしだけ元気になりました。

何かしたかったので、ひさしぶりに塔の中の
数えきれない部屋を数えにいくことにしました。
今度は、一週間ぶん以上の水と食べ物をもって出かけました。

もちろんネコもいっしょです。



おもったとおり、なんにちも走りましたが、いっこうに先は見え
ません。
ネコもはじめはいっしょに走っていましたが、そのうち疲れて
青年のリュックにもぐりこんでしまいました。

そのうち食べ物もなくなり、トボトボと歩きはじめた青年に、
ネコは声をかけました。

「もう帰ろうよ」


✳︎✳︎


青年は、こんどだけは永遠に続くろうかの先を見たかったのですが、
仕方ありません。

だけど、もう帰りの分の食べ物も食べてしまい、
今引き返してももどれるかどうか分からないのです。

あるていど来てからはどの部屋も空っぽなのは
今までのことで分かっているので、
ふだんのように食べ物の部屋を見つけられるとも思えません。


青年は少し後悔しました。

自分だけならまだしも、ネコまでつれて来てしまった。

せめてこいつだけは助けなきゃ。

青年は疲れた体を引きずって、元来た方へと歩きはじめました。


✳︎✳︎


その時です。

すごい音とともに、そばの壁がばくはつするようにこわれ、
青年とネコは危うくがれきに飲まれそうになりました。

つちけむりが収まってからおそるおそる顔をあげると、
おそらくいんせきがあけたであろう穴が、かべにあいていました。
青年が穴の前まで行ってみると、その穴は外へと続いていました。

青年は、いつもはめいわくな存在だったいんせきに感謝しました。

「ありがとう」


✳︎✳︎


こうして二人は助かりました。

外に出てみると、とてもいい天気でした。


壁にあいた穴は、なぜかまた次の日には消えていました。

このホシではそんなことはもうなれっこだったので、
もう二人とも気にはしません。


✳︎✳︎


それよりも、青年はいんせきのことを考えていました。

塔の中で助けてくれたのもそうだし、
考えてみれば、あの女の子に会わせてくれたのもいんせきだった
のです。

そりゃあ今までもたいへんだったけど、
実はその時々で、何かしてくれていたんじゃないか?


いやそれよりも、このホシじたいが、
ずっと自分たちに何かしてくれていたんじゃないか?


✳︎✳︎


そうしてしばらく、時がたちました。

その後、いんせきが落ちた後には、時々
色んな人がホシにやってくるようになりました。
 
時に男の子だったり、女性だったり、虫や魚だったり、
モヤモヤとした得体の知れないものだったり。


その度に仲よくなったり、遊んだり、ケンカしたり、触れ合ったり。


✳︎✳︎


みんな青年に何か今までとは違うかんかくをもたらしては
帰って行きます。

いつか別れてしまうさびしさはあるけれど、
青年はそんな出会いが、だんだん楽しくなってきました。


そんなようすを、
ネコは今日も目を細めて見ているのでした。


         お し ま い 。

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