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これって運命だよね!?

短編小説
恋愛
BL 二次創作
2017年03月21日 20:21 公開
1ページ(4683文字)
完結 | しおり数 0

ギャルソン店員×草食男子

tooko

表紙提供:by コマコ
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俺には可愛い彼女がいる。
けれど、俺は大の甘味好きで彼女は大の甘味嫌い。
彼女に隠れてスイーツを探し求める日々。

そんな時訪れたケーキとあの人との出会い。


エブリスタからの転載です。
エブリスタのサークル企画で書かせてもらった小説です。浮気と出会いがテーマです。
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俺の彼女は可愛い。いや、非常に可愛い。十人中、十人が「可愛い」という程。アイドル顔負けの美少女だ。
肌は透き通るようなもち肌。つけまつげなんて小細工しなくてもぱっちりした目に長くほどよくカールしたまつげ。鼻筋もすっと通って小振りな鼻に繋がっているし、唇はぽよんとグラマラスで柔らかそう。
思わず見入ってしまう可愛らしさ。

告白されたのは三ヶ月前。
同じ大学の学生で、同じ講義を何度か受けているうちに俺のことが気になってしまったらしい。
友達の友達のそのまた友達を経て、その友達から彼女を紹介された。
どうしても俺と話がしてみたくて、俺を知る友人を探しまくったそうだ。
そこまでして俺と付き合いたかったなんていじらしいじゃないか。しかもめちゃくちゃ可愛いし。
聞けば草食系男子が好きとか。
確かに俺は性欲薄い方だと思うけど、よく見た目でわかったなぁと感心してしまう。
草食系だからといって恋人とすることは肉食も草食も大して変わらない……と思ってる。
カラオケ行ったり、ゲーセン行ったり、映画を見に行ったり。
ついこの間なんて、付き合い始めてから三ヶ月記念日とかで、夜景の綺麗なダイニングバーで、ちょっと贅沢なディナーもした。予算オーバーでホテルに泊まったりは出来なかったけど、帰りには星空と夜景が一度に楽しめると有名な夜景スポットでキスもした。可愛かったし、抱き締めると自分より華奢な身体が愛しくて守ってあげたいなんてことも思ったけど。
……けど。

どうしても気が合わないことが一つだけあって……。

俺は大が付くほどのスイーツ好きなのに、彼女は大が付く程の甘味嫌いだったのだ。


「たっくん、午後の講義終わったら寄りたいとこあるんだけど、付き合ってくれる?」

「あ……ごめん。俺ちょっと今日は用事があって。明日じゃだめ?」

「えー。しょうがないなぁ。じゃあ明日でいいよ。約束ね」

「うん、まみちゃんごめん」

この日、愛しの彼女に内緒で、どうしても行かなくてはならないところがあった。
駅前大通りを一本外れた裏通りにある隠れ家的雰囲気のあるカフェで、夕方からアルコールを提供するカフェバーだ。
そこで本日限りの限定チーズケーキの販売があるらしい。
どうしても俺はそこへ行きたい。何せデンマーク産の高級クリームチーズを使った数量限定品。
ホールで買うと本来ならば15000円の超高級チーズケーキが、今回は試作品ということでかなり格安の1ピース950円で提供されるそうなのだ。
これを逃したら、きっと一生口にすることはないであろう、幻のケーキとなるだろう。
それに甘味嫌いの彼女は、ケーキを食べている男を見ているだけで吐き気がすると言っていた。
その言葉が忘れられない。
だから彼女に知られるわけにはいかないのだ。
そんな彼女には悪いけど、デートで飛んでしまう金を、今回ばかりはこの限定スイーツに捧げたかった。

午後の講義を終えそそくさと帰り支度を済ませて大学を出た。真っ直ぐ駅前通りへ向かい、その途中で裏道に入る。すると既にケーキ購入が目的であろう人々が列を成して並んでいた。
列の頭を通り越して少し離れた先に店が見える。白い外壁に木彫で装飾された古びた木製ドア。ドアノブにはclosedのドアプレートがかけられていて、その前にはイーゼルに立て掛けられた縦長の黒板が置いてある。

お立ち寄りいただき誠にありがとうございます。
限定チーズケーキの販売は16時からです。

腕時計を確認すると15時を回ったばかりで、販売開始時刻までまだ1時間もある。
それなのにこんなに並んでいるとは。
目で並ぶ人々の数を追う。ざっと数えて30人。提供されるケーキは何ピースあるのだろう……。
俺まで回ってこなかったりして……。

「すいません、この列はチーズケーキの列ですか?」

「そうですよ」

「ありがとうございます」

一抹の不安が拭えないまま、何の列か確認してから並んだ。

例えばだけど……。
例えばワンホール8等分したとして、限定で3ホールしかなかった場合、全部で24ピースだから俺まで回ってこないことになる。最低でも4ホールは必要だ。
だけど4ホール用意されていたとしても、一人が1ピースだけしか買わないという保障はないだろう。そうすると4ホールでも恐らく足りない。
ホール数の問題だけじゃない。
俺の前に30人並んでいるけれど、俺より前方の人が他の人の分まで並んであげていたとしたら……。
「こっちこっちー」「わぁすごい並んでるね」「うちらの分まで並んでおいてくれてありがとう」ってすごい勢いで5~6人増えたとしたら、俺のところまでケーキは回ってくるだろうか。
そんなことを考えながらも時間は刻々と過ぎ、店舗の窓から従業員の姿が見え始め、あと少しでオープンだという空気が流れ始めた。
腕時計は16時を刻んだ。
カランコロンとドアに取り付けられたカウベルがどこか懐かしい音を立てて鳴り響き、同時にギッと軋む音を立ててドアが開いた。

「お待たせいたしました、いらっしゃいませ」

現れたのは白いシャツに黒のクロスタイ、同じく黒のカマーベストにショート丈のカフェエプロンを身に着けた長身の男性従業員。
その瞬間、嘆息のような最小限に止めた黄色い悲鳴のようなものが聞こえ、一瞬辺りがざわついた。

え、何、何だ、どうした?

周囲をざっと見渡すと、並んでいた女性の一人が「やっぱりイケメン~!」とその前に並ぶ友人と思われる女性に話しかけている。

え?ここってイケメン従業員がいるとか、そういうので有名なところなの?
俺は純粋にスイーツを愛しているから、今後お目にかかれないかもしれないチーズケーキの販売があるから、ここに並んでいるわけなんだけど……。
少し胸中が複雑なものに変わってしまい、思わず額に手をやった。
純粋にケーキが欲しくて並んでいるのに、数が足りないとかで、もしも買うことが出来なかったら。
このイケメン従業員目当ての女性客達を、いや彼女達だけでなく、このイケメン従業員をも恨んでしまうかもしれない……!

外に並ぶ人々を店内へ招き入れるイケメンを自然と厳しい目で見てしまう。
確かに男の俺から見ても、見た目だけは恰好いいというのはよくわかる。
制服が上品で馬子にも衣裳的な作用が何割かありそうだけど、それ以前にあの人そのものが人目を引く容姿なのだ。

長身に艶のある黒髪は後ろに撫でつけられて色気がある。
切れ長の目元は涼しそうで俳優のなんちゃらって奴に似てないこともないし、すっと高い鼻筋もちょっと憧れてしまうほどだ。
店の外観もなかなか雰囲気があって少し入りづらい感があるけれど、あんな男前な店員がいるのか……。
だからこんなに女性客が並んでいるのか。
改めて見てみると、前も後ろも女性客ばかりだ。
俺は再び顔を前へ戻して最前列へ目を向ける。
何人か店内へ入ったところで「申し訳ございません」と手前に並ぶ客の行くてをやんわりと出した手で制止する。恐らくそんなに店内は広くないため、人数制限でもしているのだろう。

店員が恰好よくても不細工でも、あまり俺には関係ない。
なのに……。
なのにどうして列が前に進むにつれて、胸の動悸が激しくなっていくのだろう。
食べたことのない超高級チーズケーキと、前方に立つイケメン店員。
頭の中でチーズケーキを思い浮かべて、視覚からイケメンを捉えているからこんなにドキドキするのかな……?
自分の思考回路が少しずれていることにも気付かないで、少しずつ歩みを進める列に押されて胸を昂らせる。
店から出てくる女性客達はみな一様に小さな白い箱を手にしていた。
ケーキ一個分の大きさの箱だ。これは一人1ピース限定ということで間違いなさそうだ。
店から出て行く客を見たり、自分の前に並ぶ人の頭の数を数えたり、挙動不審にきょろきょろとしていたら、イケメン店員と目が合った。
視線が絡んだのだと認識した途端、ぼんっと顔が真っ赤になる。

なんで!?
あの人男だよ!?緊張することないじゃないか!?

ぱっと目を逸らし、胸を押さえて、心身の穢れを取り払うべく冷水で滝行でもしている自分をイメージした。
列は牛歩の歩みさながらの進み具合だったが、目の前の女性客が店内へと入店する。
よし!次は俺の番だ!!
そう思ったが「お待ちくださいませ」と声までイケメンなこの店員に行く手を遮られ足を止めた。
胸中がどうしてか乱れるので、無意識に目の前のイケメン店員をシャットアウトして、ちらちらと店内を覗く。
店内は木目調のブラウンで統一されていて、やはりどこかアンティークさが漂っている。
入ってすぐのところにガラスのショーケース。その中に、ちょっとこの辺りじゃ見ないような小洒落た総菜とスィーツが並んでいた。その奥に飲食スペース。奥行があって結構広い。
店内にいた5人のうち、一人がまた白い箱を手に店を出る。
次は、俺の番だ……。やっと、やっと、ずっと待っていた、この時をーーー!!

その時微かに店内から業務連絡を伝えるような声が聞こえてきて、俺は耳を傾けた。
え……?

「ごめん!最後の一個落としちゃってー……」
「マジかよ。もー、どんくせーな。しょうがないからここまでか。野中ー!」

中にいた別の男性店員が目の前のイケメンに向かって大きく腕をクロスしてバッテンのポーズをして見せる。

俺は瞬間に悟った。

終わった……。

「申し訳ございません。本日の限定販売は終了致しました、ありがとうございました」

目の前のイケメンがイケボで何か言っている。

列の後方からは喪失感丸出しの溜息が聞こえた。

これだけを楽しみにしてきたのに……。
目の前が暗くなり、目頭が熱くなる。
食べたかった……。
悔しさに目の前が涙でぼやけ、ついで、あまりのショックにしばらく動けなかった。

ぐいっと袖口で目元を拭うと、目の前に、爪楊枝で突き刺された小さなケーキの欠片。

「形崩れちまったんだけど……食うか?」

濁っていた視界が急に開けたように感じて、目を凝らす。
それは紛れもなく、俺が待ち望んでいた、ベイクドチーズケーキ!!
濃厚なチーズの香りとレモンの爽やかな香りが、甘く焼けたビスケット台の香りと混じり合い、間違いなく最高級スイーツだと脳の感覚野が叫んでいた。

俺は潤んだ目で目の前の男を見上げ、こくりと頷く。

「ほら」

口元へと近づいてくるケーキの欠片。
表面の絶妙な焦げ目、土台の隙間から見えるとろけたチーズが照り照りに輝いていて、俺は思わずひな鳥よろしく口を開けて、中へ放り込まれるのを待った。



ぱくっーーーー。




リンゴーン、リンゴーン……。





濃厚で奥深い、初めて食べた甘やかなケーキの欠片とともに、眼前の野中さんを視界いっぱいに写し、俺の頭で祝福の鐘が鳴った。



終。

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