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九十九神ハロウィン

短編小説
ファンタジー
オリジナル
2015年10月01日 22:06 公開
1ページ(1994文字)
完結 | しおり数 0



あまね

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九十九神のハロウィンの話。

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 九十九神、物を大事にすることで、物に命がやどり、やがては神になる。

 5年ほど前、長年シズちゃんに大事にされて、僕は九十九神になった。
 
 ママゴトの旦那役から始まり、一緒に眠ったりしながらシズちゃんは大きくなり、そして嫁入り、孫をみるまで数十年、そりゃああシズちゃんにはお世話になった。
 
 シズちゃんは4年ほど前に亡くなったけど、僕は押入れの中にいる。
 普段は、思い出とともに押入れの中に、放置されている。

 九十九神になったからといって、それほど自由にうごきまわることはできない、せいぜい押入れの隙間を少しだけ開けることができるだけ。

 ただ人の言葉が分かるようになって、思い出とかを大事にするようになっただけ。
 ちょっと綿がでてるような、古びたリボンを巻いたくまの縫いぐるみであることは変らない。

 時たま押入れの隙間からそっと覗き、天国のシズちゃんに報告めいた独り言をいうだけだ。

 シズちゃんとの楽しい思い出や、悲しい思い出を時たま言って、薄暗い押入れの中で日々を過ごすだけの毎日だった。

 2年前まではの話だ。
 
 2年前の10月の末日の真夜中に激変した。
 最初はシズちゃんの孫のアズミちゃんのように、小さい可愛い女の子だと思ったけれど、黒い羽に、三角のとんがり帽子、小さなマントを来て、お菓子がいっぱいはいった赤い綺麗なリボンを巻いたかごをもつ、みょうちくりんな格好の子供で、動かないクマのぬいぐるみである僕に唐突にこう聞いてきた。

「トリックオアトリート」

 何かを期待するようないたずらっ子のような目が僕を見てきたが、どう答えたらいいのか分らない僕は、身を動かすこともできず、たじろくぐらいだった、

「トリックオアトリート、お菓子くれなきゃいたずらしちゃうよ」

 小首をかしげながら僕をつかみながら、もう一度なぞの呪文のような言葉とお菓子を要求してきたが、僕のようなクマのぬいぐるみの九十九神は、お菓子を持っていない。
 クビを振り愛想を振りまいてみたが、女の子は満足しなかった。

「じゃあ悪戯するね」

 そういうと、女の子は、僕のはらにつまった、綿をとったり、耳や腕を思いっきり引っ張った、年季のはいった耳や腕はもげた。

 翌日、押入れから放りだされていた僕の身体をシズちゃんの娘さんのカズちゃんは、アズミちゃんがやったと思ったのか、しょうがないわねとつぶやきながら、綿をつめて、腕や耳を縫い合わせてくれた。

 シズちゃんと同じくらい危なっかしい手つきで、ところどころやはり綿ははみ出たりしているけれど、僕の身体は直った。
 その後、理不尽にもアズミちゃんは、怒られていたけれど、僕と数日ままごとで遊んでくれた。
 そして、また押入れの生活に戻り、一年たつとまた、10月の末日に彼女はやってきた。

「トリックオアトリート」

 一年前のことなんて、すっかり忘れていた僕は、やはりお菓子をあげる事ができなかった。
 
 そして一年前と同じように、綿を引っ張りだしたり、うでがもげそうなぐらいに引っ張ったりしたり、今度はカズちゃんの口紅を僕の口に塗ったりして、嵐のように去っていった。

 カズちゃんに丁寧に身体を拭かれたり、アズミちゃんと一日遊んだりして、また押入れの中にもどった。

 そして今年も10月にはいると僕は小さい女の子は、また今年もくるのかなぁと思いながら、まっていた。
  
 そして10月の末日の夜、女の子は去年同様にみょうちくりんな格好でやってきて僕に語った。

「トリックオアトリート」

 僕は、はみ出ているじぶんの綿を少量だけ、自分でむしり女の子の小さな手のひらに乗せた。

 シズちゃんが小さい頃、やったママゴトのように、綿をお菓子だと言い張るように、ぐいぐいと押し付けた。
 女の子は正解だといわんばかりに、軽くうなずいて、ふんふんと鼻歌をまじえた挨拶をした。

「ハッピーハロウィン くまぞう、シズちゃんからプレゼント」

 僕をなつかしい名前で呼んだ女の子は、カゴの綺麗なリボンをつけて、アズミちゃんのベットの横に僕を飾って帰っていた。

 翌日、アズミちゃんは不思議そうな顔しながらも、気にすることもなく、少しどことなく嬉しそうな顔をしながら僕の新しい名前をよんでくれた。

 僕は答えるように不自然にならない程度に体を動かしうなずいた。

 シズちゃんと過ごしてくまぞうと名づけてもらって数十年、九十九神になって数年たっても名前はよんでもらえず押入れで思い出として過ごしていた僕に、別の居場所を示してくれたシズちゃんに感謝しながら、
新しい綺麗なリボンに書いてある、クマ太郎とシズちゃんのように、名前のセンスがどことなく似ているアズミちゃんを見守りながらすごしている。
 


 
 

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